文:マック・バーネット 絵:ジョン・クラッセン 訳:なかがわちひろ 出版:徳間書店
おおかみに食べられる話は数多くあります。
しかし、食べられた後のお腹の中の話は滅多にありません。
おおかみに食べられると一体どんな暮らしが待っているのか。
ぜひその一例を覗いててみてください。
あらすじ
森の中にネズミがいました。
おおかみに見つかってしまい、パクッと食べられてしまいました。
お腹の中で泣いていると、「静かにしてくれよ」と誰かの声が。
そこにはアヒルが住んでいました。
とりあえず、二匹は朝ごはんを食べることに。
するとたくさんのごちそうが並びました。
快適に過ごせるとわかり、ネズミもお腹の中に住むことに。
お腹の中での生活を満喫していたある日、オオカミは狩人に見つかってしまいます。
鉄砲から逃げるおおかみですが、木に足が挟まり絶体絶命。
するとお腹の中のネズミが‟我が家”を守ろうと立ち上がります。
ネズミとアヒルは‟我が家”守ることが出来るのでしょうか。
そして、おおかみとの関係はどうなるのでしょう。
『おおかみのおなかのなかで』の素敵なところ
- 絵にマッチした文章のパンチ力
- 物語後半の衝撃の展開
- 読めば読むほどおもしろくなる
とにかく、絵の魅力がすさまじいこの絵本。
キャラクターの仕草や表情がたまりません。
でも、その絵に文章がのせられた時のパンチ力がまたすごいのです。
見開きに一言「おりゃー」や「イエーイ」のページのパンチ力。
子どもたちからは思わず「おー!」と歓声があがったり、オチに大爆笑したり。
そんなオチに繋がる後半の展開も衝撃的です。
「えー!?」となること受け合いの展開からのオチをぜひ見て欲しいです。
大人でもつい笑ってしまいます。
そして、このオチを知ったうえでもう一度見ると物語の理解度が上がり、より楽しめるのもこの絵本の素敵なところ。
読めば読むほど味と子どもの反応が出てくる絵本です。
『おおかみのおなかのなかで』のおすすめの読み方
- 見開きの「おりゃーっ!」と「イエーイ」が盛り上がりポイント
- 子どもの反応を拾いながら、おもしろさを広げていく
- 繰り返し読む
この絵本で「えー!?」となるこの二か所。
前のページで「どうするんだろうね?」と予測を聞きつつ溜めを作って、この場面に持ってくると予想外の展開に「えー!?」といい反応を返してくれると思います。
また、お腹の中で快適に暮らす奇妙さに面白さを感じる子と、素直に受け入れる子に別れると思います。
そんな時、面白さを感じている子の言葉を拾っていくと、「確かに奇妙だな」と面白さが広がり子ども同士の話が盛り上がったりします。
そして、理解度が深まるほど、この奇妙さは面白さに繋がっていくので、繰り返し読んでいくとより楽しめると思います。
衝撃の展開を子どもたちと味わいつつ、ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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