原作:フランク・ボーム 文:木坂涼 絵:朝倉めぐみ 出版:フレーベル館
オズの魔法使いを読んでみよう。
そう思って探したけど、長かったり、簡単過ぎたりで、いい絵本が見つからなかったことはないでしょうか。
そんなオズの魔法使い入門編として、程よいボリュームとわかりやすさで読みやすいのがこの絵本。
初めてのオズの魔法使いにぜひ読んでみてください。
あらすじ
カンザスに住んでいる女の子ドロシーと愛犬トトは、ある日竜巻に巻き込まれて家ごと飛ばされてしまいます。
家とともに飛ばされた先は知らない場所でした。
そこでは東の悪い魔女をやっつけてくれたと歓迎を受けます。
なんと東の悪い魔女を家の下敷きにしていたのです。
カンザスに帰りたいことを伝えると、オズの国を目指しなさいと言われます。
また、東の悪い魔女の履いていた魔法の靴を履いていくことと、願いが叶うまでけっして脱いではいけないことも。
こうして出発したドロシーは
賢い脳みそが欲しいかかし
愛する心が欲しいブリキの木こり
勇気が欲しいライオン
の三人と出会います。
そして力を合わせて、オズの国までたどり着きます。
そこでは緑色のメガネをかけないと王様に会うことは出来ないと言われ、メガネをかけて王様に会うことに。
一人ずつ王様に会うことになりましたが、なんとそれぞれ違う姿に見えたのです。
しかし、言われたのは同じ事。
「西の悪い魔女をやっつけてくれたら、願いを叶えましょう」
こうして4人は西の悪い魔女をやっつけに出発します。
果たして、願いを叶えてもらうことは出来るのでしょうか。
そして、不思議な王様の正体とは・・・。
『オズのまほうつかい』の素敵なところ
- コンパクトにまとまっていてわかりやすい
- 場面転換のテンポがよく飽きずにみられる
- 物足りない部分がありつつもネタバレされ過ぎていないので、より原作に近いものへ繋げて読みやすい。
原作はかなり長く、読み聞かせとなると数日かけて読むものが多いです。
そんな中この絵本は、ちょうど一回で読み切れるくらいの分量でかなりきれいにまとまっています。
大筋の話やキャラクターの個性、その雰囲気など、『オズの魔法使い』の持つ魅力をわかりやすく伝えるにはうってつけの絵本だと思います。
そうは言っても、4~5歳向けの絵本の中では長い部類に入ります。
ですが、テンポのいい場面転換や、状況がわかりやすい綺麗な絵、キャラクターの豊かな表情のおかげで飽きずに物語に引き込まれていきます。
実際に読んでいてもかなり集中していて、読み終わった時には「もう終わり?」といった様子でした。
そして、原作を知っていると物足りないポイントでもあるのですが、分量の関係で消化不良で終わる部分があります。
オズの国までの力を合わせて危機を乗り越える場面は、後々それぞれの願いに深くかかわる部分です。
しかし、テンポよくするためにかなり駆け足で進み、あっという間にオズの国にたどり着きます。
また、王様の正体なども同様です。
ただその分、この絵本でオズの魔法使いが好きになり、次に原作を読もうとしたときにワクワクする場面や謎が残されていることで、新鮮な気持ちで聞くことが出来ます。
でも、大筋は頭に入っているので、理解はスムーズになります。
そういう意味では浅いところから深いところへの橋渡し的、入門編的な『オズの魔法使い』とも言えるかもしれません。
『オズのまほうつかい』のおすすめの読み方
- 子どもの質問に適度の答え、理解度を深めつつ
- 適度に振り返りを挟みつつ読む
- それぞれのキャラクターの声に変化をつけながら
わからない単語が出てくることも多いので、話が止まり過ぎない範囲で説明をしながら読んであげると途中で迷子にならずにお話を楽しめると思います。
逆にわからないまま進むと、長いことも相まってなかなか大変だと思うので、子どもの様子を見つつ補足してあげるとお話の世界に入り込んでいけると思います。
また、わかりにくそうなところや、伏線の回収が遠い場面などに関しては軽く振り返りを入れてあげるとその場面のおもしろさが伝わりやすくなります。
例えば、王様の姿が違って見えるところでは、かかしが王様に会った時に「あれ?ドロシーの時は大きな顔だったのにね」と一言入れてみる。
他にも「魔法の靴を脱がないように」と言われた伏線回収が西の悪い魔女の所で活かされるのですが、そこまで魔法の靴に触れられないので忘れてしまう子が多いです。
なので、西の悪い魔女が靴を狙っていると分かった場面で、「そういえば、最初にこの靴はどうしろって言われてたっけ?」と伏線を思い出させてから読み進めると、より臨場感のある場面になります。
それと、色んなキャラクターが交互にしゃべるので、ある程度声に変化をつけてあげると、場面の理解がスムーズになると思います。
少し長く、複雑な部分もあるので、読む相手に合わせてフォローを入れていってあげると、オズの魔法使いの魅力的な世界へ誘うことが出来ると思います。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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