作・絵:せなけいこ 出版:ポプラ社
泳げない魚と、泳げない男の子。
同じ悩みを抱えた二人に希望の光が差し込みます。
その希望とはスイミングスクール!
二人は泳げるようになるのでしょうか。
あらすじ
海の底で魚の子どもたちがたくさん産まれました。
でも、その中に泳げない魚が一匹。
泳げない魚は這っていくことに。
浜辺まで這ってくると、男の子に会いました。
魚が泳げないことを伝えると、その男の子も泳げないのだと言います。
すると、近くにいた泳げる子が「スイミングスクールに行けばいいよ」とアドバイスをくれました。
二人はさっそくスイミングスクールへ。
バタ足や、ビート版など、泳げるように頑張ります。
その練習を見ていた猫が「おもしろそう」とプールに近づき・・・。
落っこちてしまいました。
気付いているのは泳げない魚だけ。
一体どうなってしまうのでしょうか。
『およげないさかな』の素敵なところ
- 出来るようになるための練習
- それがあるからこその泳げるようになった時の喜び
- それらを邪魔しないシンプルで単純明快な物語
この絵本の一番素敵なところは、泳げるようになるために練習する姿をしっかりと描いている所だと思います。
何かが出来るようになるために、きっかけとなる事件が起こり、気持ちで出来るようになることが多い中、この絵本は地道な努力が描かれます。
「泳げるようになる」という明確な目的のために、スイミングスクールに行く。
そこで、バタ足やビート版など、基礎的な練習をしっかりしていく男の子と魚の姿。
それらをしっかり見せていくことで、
「出来ないなら、練習して出来るようになればいいんだよ」
という、優しいメッセージとエールを送ってくれているように思います。
そして、その頑張っている姿があったことで、泳げるようになった時の喜びもひとしおなのだと思います。
それは子どもたちが「泳げるようになってよかったね」という、お祝いの言葉だけでなく、
「たくさん頑張ったもんね!」という労いの言葉を口にしていることからも、しっかり子どもに伝わっているのでしょう。
その優しくも力強いメッセージがとてもシンプルにストレートに伝わってくるのは、物語がシンプルで単純明快だからかもしれません。
泳げなくて悩んでいる魚が、同じ悩みを持った男の子と出会い、練習して出来るようになる。
そんなシンプル過ぎる内容だからこそ、これだけストレートに、小さい子にも大きい子にもメッセージが伝わるのだと思います。
何かが出来ない子の背中を「練習すればきっと出来るよ」と優しくも力強く押してくれる。
わかりやすく、大切なことを伝えてくれる絵本です。
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