文:ジェイン・ヨーレン 絵:マーク・ティーグ 訳:なかがわちひろ 出版:小峰書店
苦手なものは暴れてでも食べない。
お皿をひっくり返したり、飲み物をぶくぶくしたり・・・。
子どもたちの食事風景が恐竜のごはんのように映ることもあるでしょう。
そんな時に読んでみたい絵本です。
あらすじ
恐竜たちのご飯の時間になりました。
恐竜たちはどんな風に食べるのでしょう。
大声でおしゃべりしたり
嫌いなものはぽいっと投げたり
いすをガタガタゆすって飛び跳ねたり
そんな食べ方をするのでしょうか。
いいえ。そんな食べ方はしません。恐竜だもの。
では、一体どんな食べ方をするのでしょう。
『きょうりゅうたちのいただきます』の素敵なところ
- 絵がきれいでリアル
- 子どもの食事中あるあるがつまっている
- マナーがわかりやすく、伝えやすい
デフォルメされていないリアルな恐竜の絵がきれいに描かれています。
これには恐竜図鑑と日々にらめっこしている子どもたちも大満足。
また、マニアックな恐竜が多いのも特徴で、内容そっちのけでなんていう恐竜なのかばかり気になる子も。
大判なのもあり、躍動感ある恐竜の絵を見るだけでワクワクします。
そしてその恐竜たちは子どもたちが食事中にする傍若無人な行いを見事に再現してくれます。
それを見て自分の姿と重ね合わせます。
自分は恐竜みたいだと思っていると、なんと恐竜たちがマナーを守って食べる姿が・・・。
まさか「恐竜さんみたいにきれいに食べなさい」という日が来るとは・・・。
そんなギャップを楽しみつつ、「恐竜さんどうやって食べていたっけ?」「恐竜さんは嫌いなものも食べるから大きいんだね」などなど普段の食事での声掛けにも役に立つ一石二鳥の絵本です。
3歳くらいの食事のマナーを伝え始める時期にぜひ読んでみてください。
きっと言葉だけでは伝わらないメッセージやイメージが伝わると思います。
『きょうりゅうたちのいただきます』のおすすめの読み方
- 絵をじっくり見る時間を取る
- 前半は恐竜だからしょうがない
- 後半は恐竜だから当たり前という雰囲気で
文章量が少なく、絵が細かく描き込まれているので、ページ毎にゆっくりと絵を見る時間を取っていきましょう。
絵を見ながら「こんなことしてる子いない?」「この前これをしていたような」など、子どもに問いかけつつ見る時間を取るのもいいと思います。
そして、前半の傍若無人なところは恐竜だからしょうがないという様子で、「恐竜さんだもんね」と諦めたように読んでいきます。
後半、「いいえ、恐竜だもの」からは一転して、「そりゃ、恐竜さんだもん」というようにきれいに食べて当然という雰囲気で読んでいきます。
すると子どもたちは唖然・・・。
「えー!?」「上手だね」「こんな風に食べられるかな?」「スプーン使えるんだね」などなど様々な反応が。
全部、「恐竜だから当たり前でしょ」というスタイルで返していくと、子どもたちも段々納得してきて「恐竜さんみたいに食べよう」という雰囲気に。
そんな不思議な空気感がありつつ、伝えるのが地味に難しい食事のマナーをわかりやすくしてくれるこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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