やだやだパパやだ!(3歳~)

絵本

文:天野慶 絵:はまのゆか 出版:ほるぷ出版

「パパやだ!ママがいい!」

よく聞こえてくる、パパにはつらい言葉です。

でも、「やだやだ!」と言い続けていると、段々パパの姿が・・・。

あらすじ

ある朝、女の子はお母さんを見送りました。

今日はママがお出かけで、パパと2人で留守番です。

でも、パパとの留守番は嫌でした。

だって・・・。

テレビばっかり見てるからやだ!

一緒に遊んでくれないからやだ!

変な模様の服を着るし、ズボンにシャツが入っているからやだ!

他にも嫌なところがたくさん!

ところが、「やだやだ!」と言い続けていたら、パパの様子がなんだか変。

なんと、体は緑色になり、口には牙、背中には羽、おしりには尻尾まで生えてきたのです。

まるで、モンスターのようになってしまったパパ。

それを見て、女の子は・・・大喜び!

「パパ、すっごーく面白い!!!」

ですが、面白いと言ったら、パパは少し元に戻りました。

しばらくパパと遊んだ後、女の子は考えました。

もしママがパパのこの姿を見たら・・・。

このまま仕事に行ったら・・・。

悪者と間違えられたら・・・。

女の子はママが帰ってくるまでにパパを元に戻すことにしました。

しかし、一体どうやって・・・?

『やだやだパパやだ!』の素敵なところ

  • 誰もが通る「パパ(ママ)やだ!」という題材
  • 「やだ!」のわかりやすい効力
  • 「一緒に」楽しむ大切さとおもしろさ

この絵本で描かれる題材はまさにみんなが通るもの。

もう経験した子、現在進行形の子、これからの子。

様々いることでしょう。

思春期にもう一度経験することもあるかもしれません。

そんな、身近な題材だからこそ、自分のことのように読んでしまいます。

特に今「やだやだ!」と言っている子は、「パパがこうなったらどうしよう」と思う子もちらほら。

この「姿が変わる」という効力は、日頃気軽に言っている「やだ!」の破壊力をストレートに伝えてくれます。

この絵本が素敵なのはその姿だけで終わらず、その奥の「言われて悲しい気持ち」も表現されていることです。

パパの姿が変わって、振り向く時の悲しそうな表情は、まさに「やだ!」と言われ続けへこんだパパの表情そのもの。

思わず心が痛みます。

「やだ!」の流れに笑っていた子どもたちも「なんか、かわいそう・・・」と、一瞬我にかえります。

そんなパパを戻す方法は単純明快で、とっても楽しいものでした。

最初はお互いに、それぞれの気持ちばかり優先させていましたが、「一緒に」楽しむことの大切さ、おもしろさが伝わってきます。

子どもたちも一緒に楽しむ姿を見て、「いいな~。私もパパとこんなことしたい!」と憧れの眼差しに。

「やだ!」と言われた気持ちを視覚的にわかりやすく伝えてくれる。

「やだ!」という子も、「今、忙しいからあとで」というパパも、読んだら一緒に遊びたくなる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました