文:天野慶 絵:はまのゆか 出版:ほるぷ出版
「パパやだ!ママがいい!」
よく聞こえてくる、パパにはつらい言葉です。
でも、「やだやだ!」と言い続けていると、段々パパの姿が・・・。
あらすじ
ある朝、女の子はお母さんを見送りました。
今日はママがお出かけで、パパと2人で留守番です。
でも、パパとの留守番は嫌でした。
だって・・・。
テレビばっかり見てるからやだ!
一緒に遊んでくれないからやだ!
変な模様の服を着るし、ズボンにシャツが入っているからやだ!
他にも嫌なところがたくさん!
ところが、「やだやだ!」と言い続けていたら、パパの様子がなんだか変。
なんと、体は緑色になり、口には牙、背中には羽、おしりには尻尾まで生えてきたのです。
まるで、モンスターのようになってしまったパパ。
それを見て、女の子は・・・大喜び!
「パパ、すっごーく面白い!!!」
ですが、面白いと言ったら、パパは少し元に戻りました。
しばらくパパと遊んだ後、女の子は考えました。
もしママがパパのこの姿を見たら・・・。
このまま仕事に行ったら・・・。
悪者と間違えられたら・・・。
女の子はママが帰ってくるまでにパパを元に戻すことにしました。
しかし、一体どうやって・・・?
『やだやだパパやだ!』の素敵なところ
- 誰もが通る「パパ(ママ)やだ!」という題材
- 「やだ!」のわかりやすい効力
- 「一緒に」楽しむ大切さとおもしろさ
この絵本で描かれる題材はまさにみんなが通るもの。
もう経験した子、現在進行形の子、これからの子。
様々いることでしょう。
思春期にもう一度経験することもあるかもしれません。
そんな、身近な題材だからこそ、自分のことのように読んでしまいます。
特に今「やだやだ!」と言っている子は、「パパがこうなったらどうしよう」と思う子もちらほら。
この「姿が変わる」という効力は、日頃気軽に言っている「やだ!」の破壊力をストレートに伝えてくれます。
この絵本が素敵なのはその姿だけで終わらず、その奥の「言われて悲しい気持ち」も表現されていることです。
パパの姿が変わって、振り向く時の悲しそうな表情は、まさに「やだ!」と言われ続けへこんだパパの表情そのもの。
思わず心が痛みます。
「やだ!」の流れに笑っていた子どもたちも「なんか、かわいそう・・・」と、一瞬我にかえります。
そんなパパを戻す方法は単純明快で、とっても楽しいものでした。
最初はお互いに、それぞれの気持ちばかり優先させていましたが、「一緒に」楽しむことの大切さ、おもしろさが伝わってきます。
子どもたちも一緒に楽しむ姿を見て、「いいな~。私もパパとこんなことしたい!」と憧れの眼差しに。
「やだ!」と言われた気持ちを視覚的にわかりやすく伝えてくれる。
「やだ!」という子も、「今、忙しいからあとで」というパパも、読んだら一緒に遊びたくなる絵本です。
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