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せんろをまもる!ドクターイエロー(3歳~)

作:鎌田歩 出版:小学館

線路のお医者さんドクターイエロー。

なんとなくは知っていても、具体的に知らない人は多いはず。

そんなドクターイエローの秘密が詳しく、わかりやすく描かれます。

さっそく、その仕事ぶりをのぞいてみましょう。

目次

あらすじ

新幹線の線路を走る黄色い車両。

それがドクターイエローです。

ドクターイエローは線路や通信、トロリ線に異常がないか走りながら調べる線路のお医者さんなのです。

その日の仕事が終わり、車両基地に戻ってくると、たくさんの車両がある中見慣れない車両が。

それは出来上がったばかりの新型新幹線スプリームくんでした。

スプリームくんは「どんなカーブも上り坂も、すごい速さで走れるよ」と言います。

するとドクターイエローが「そのためには線路がきちんとしていないといけない」のだと言うのです。

ロングレール運搬車が新しいレールを運んでくる。

道床交換車が古くなったバラスト(石)を新しいバラストに入れ替える。

マルチプルタイタンパーがバラストを突き固めて線路を整える。

そうすることで、線路をいつもきれいに整えてくれるのだと。

スプリームくんは今度は滑らかに動くパンタグラフのことを言いました。

ドクターイエローは「それはトロリ線がきちんと張られているからだ」と返します。

架線延線車が古くなったトロリ線を、新しいトロリ線に張り替えてくれているのです。

スプリームくんは暗いところも昼間のように照らすライトのことも言いました。

それを聞いて、ドクターイエローは自分のライトだけじゃなく、カメラもついていることを伝えました。

スプリームくんは不思議に思い聞きました。

「きみは普通の車両じゃないんだね。どんな仕事をしているの?」と。

ドクターイエローは線路のお医者さんであること、自分の体にある線路を調べる色んな機械のことをスプリームくんに教えました。

そうこうしているうちに夜になり、新幹線車両たちは眠りにつき、保線車両たちが出発します。

昼間、ドクターイエローが見つけた具合のよくない場所を、夜の間に直すのです。

翌日はいよいよスプリームくんが初めて走る日です。

緊張している様子のスプリームくん。

無事に初走行出来るでしょうか。

『せんろをまもる!ドクターイエロー』の素敵なところ

  • 点検から修理まで、保線作業の全てがわかる
  • 図解でわかるドクターイエローの作りや機能
  • 物語の中で自然に語られるのでわかりやすい

この絵本、ドクターイエローの本かと思いきや、保線作業の全てが描かれた絵本でした。

マルチプルタイタンパー、ロングレール運搬車、架線延線車に道床交換車と、聞いたこともない工事車両がどんどん出てきます。

でも、それぞれの仕事にフォーカスを当てて、わかりやすい文章と絵でその仕事ぶりが描かれるので安心です。

こうやって、線路が守られているのかと感心してしまいます。

子どもたちからもバラストの場面で「あー!線路に置いてあるやつ!」「だから平らなのかー」など、新たな発見があった様子です。

さて、主役のドクターイエローですが、これまた詳しく、かつ分かりやすく描かれます。

どうやって270キロで走行しながら調べられるのか、どこにそんな機能がついているかなどが、図解されていて一目瞭然。

特に、外側からではわからない、客席がなくて、そこに機械が詰まっている内部構造に驚く子も多くいました。

そんなマニアックな要素も満載なこの絵本ですが、驚くほどにわかりやすいのが大きな魅力の一つだと思います。

それはスプリームくんを絡めた、物語で描かれているからでしょう。

見ている人の疑問を、スプリームくんがドクターイエローに聞いてくれ、それに答えてくれるのです。

なので、説明ばかりになりにくく、自然とわかりやすい言葉になるのでしょう。

子どもたちの「ドクターイエローすごいね!」と一緒に「スプリームくん頑張って!」という言葉が出てくるところからも、ドクターイエローの秘密だけじゃなく、スプリームくんとの物語を楽しんでいることを感じます。

保線作業を網羅しつつも、とてもわかりやすい。

詳しく、楽しく、かっこよく描かれた裏方たちの物語です。

登る保育士ホイクライマー
保育士
絵本大好きなクライミングが趣味の保育士/保育士歴12年/クライミング歴10年
年間200冊以上読み聞かせをしてきた経験を元に、絵本の紹介をしています。
専門書や学術書を読むのも好き!
その中から、日々の保育や子育てに役立ちそうな知識も、深め・濃いめ・具体例多めで、紹介しています。
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