作:町田尚子 出版:ほるぷ出版
家で留守番をしている猫。
好きなだけゴロゴロして、日向ぼっこをして、のんびり過ごしている。
そんな風に思っている人はいませんか?
いえいえ、猫だってやることがたくさんあるのです。
あらすじ
人間が出かけていった。
部屋の中にいたネコはクローゼットへ入っていく。
なんと出てきたのは、外に生える木に空いた穴。
大きく伸びをすると、ネコは歩き出した。
まずはカフェでのどを潤し、床屋さんで身だしなみを整える。
本屋さんで本を見て、映画館で映画を観る。
ネコにはまだまだ行きたいところも、やりたいこともある。
そして、人間が帰ってくる前に木の穴を通り、また家に戻ってくるのです。
『ねこはるすばん』の素敵なところ
- まさかの留守番していないネコ
- でも、どこにいってもネコらしさは忘れない
- 空想なのか現実なのかあいまいな最後の場面
だれもが「いってきます」をした後は、ネコが日がな一日留守番をしていると思い込んでいるのではないでしょうか。
それがまさかの勘違い。
木の穴から出てきたところで「えー!?」と掴みはばっちりです。
もう先が気になってしょうがありません。
そして、その行動はまるで人間。
しかも、ちょっとおっさんくさい。
リアルな描写でかわいい猫と、おっさんくささのギャップがまたたまりません。
しかし、どこにいってもリアルなネコらしさを失わないのがこの絵本の大きな魅力。
カフェでは猫舌なので飲むのに苦労する。
床屋さんでは切らずに、店員さんに毛づくろいしてもらいます。
本屋では読むのではなく、本の角にほっぺをスリスリ。
映画を観ている時は、目が光ってしまいます。
こんな風に、仕草や反応が物凄くリアル志向でまさにネコ。
なのにやっていることはおっさんというギャップが素敵です。
さて、一通り満喫すると家に帰ってきます。
ここで一つ大きな仕掛けが待っていました。
それを見た時一つの疑問が。
「さっきのは空想なのか現実なのか?」
実は部屋の中で、空想にふけって暴れまわっていただけなのかもしれない。
でも、やっぱり本当に外に行っていたのでは?
答えの出ないモヤモヤ感は投げっぱなしに、ネコのかわいい顔で終わります。
空想と現実、かわいさとおっさんくささが混ざり合った。
不思議でおもしろい、結局ネコがかわい過ぎるという絵本です。
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