作:エミリー・グラヴェット 訳:福本友美子 出版:フレーベル館
子どもの得意技「もっかい!」
言い始めたら一生終わりません。
そんな「もっかい!」を言う子どもの気持ちと、それを言われる親の気持ちの両方が詰め込まれた絵本です。
そして、面白い仕掛けたっぷりのユニークな絵本でもあります。
あらすじ
そろそろおやすみの時間。
竜の子どもが寝る前に読んでもらうのはこわーい暴れん坊の赤い竜の絵本です。
そして、終わると「もっかい?」
眠くなりながらももう一回読んであげると大喜び。
・・・しかし、読み終わると「もっかい!」
親竜も眠くなって来て、段々読むのが適当に。
すると、怒って「もっかい!もっかい!」
でも、ついに親竜は夢の中へ・・・。
「もっかい!もっかい!もっかい!」と怒る竜の子ども。
段々身体も赤くなってきました。
読んでもらえない竜の子どもは一体どうするのでしょうか。
『もっかい!』の素敵なところ
- 表情豊かな竜の親子
- 場面に合わせて変化していく絵本の絵
- 遊び心満載の仕掛け
この絵本の竜の親子は本当に生きているかのように表情が豊かです。
子どもの絵本を読んでもらっているときの満足そうな顔。
「もっかい?」という時の愛嬌たっぷりの上目遣い。
怒った時の怒鳴り方。
どれもかわいくてたまりません。
それに対して、親竜の眠そうな顔。
徐々に眠さが増していくのがわかります。
そして眠った時の気持ちよさそうな顔。
親子の絵を見ているだけでも楽しいです。
また、遊び心がふんだんに詰め込まれているのも素敵なところ。
読んでいる絵本の一ページがアップになって、文章の一部になっているのですが、その絵は読み方が適当になっていくにつれ変化していきます。
それだけではなく、アップになっていない子どもが手に持って開いているページの絵も場面に合わせてこっそり変化していて、よく見ると絵本の中の竜とお姫様の心情も読み取れます。
気づいた子から「怒鳴ってるから、びっくりしてるんじゃない?」などイメージが膨らみます。
そして、最後のシーンにはこの絵本ならではのオチと仕掛けが。
その仕掛けが絵本が終わった後、作者紹介ページ、裏表紙まで巻き込んで続いていて、絵本が終わった後の続きを想像して楽しめるようになっているのです。
生き生きとした絵に、工夫と仕掛けが詰まったとても楽しい絵本です。
この絵本を読み終わると子どもは必ず行ってきます。
「もっかい!もっかい!」
『もっかい!』のおすすめの読み方
- 絵をゆっくり見せて、子どもの発見に反応していく
- 親竜は徐々に眠たそうに
- 竜の子どもは全力で
絵本のページの絵が変わっていたり、その中に語られないストーリーがあったりするので、絵はゆっくり見せながら読んでいきましょう。
それを発見したり想像する子どもの声を聞いていくことで、さらに想像の世界が広がって奥深くなっていきます。
そして、親竜は表情や文字の雰囲気に合わせて、段々眠くなっていることを表現しながら読んでいきます。
反対に子どもの竜はかわいく頼んでいたのが段々不機嫌になっていきましょう。
特に怒った後の「もっかい!」はやけになっている感じをしっかり出していきましょう。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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