あっ!みーつけたっ!!(4歳~)

絵本

作:くすのきしげのり 絵:大島妙子 出版:光村教育図書

道端に落ちている色々な形の石。

それに色を塗ると動物に大変身。

路傍の石から、様々な動物が生まれます。

でも、そんなことをしているのには、ある秘密があったのです。

あらすじ

男の子は学校からの帰り道、ライオンみたいな石を見つけ閃いた。

ジャンバーのポケットに入れて持って帰えり、色を塗ると強そうなライオンが完成した。

次の日、また違う形の石を見つけた。

またポケットに入れて持って帰ると色を塗り、今度はあくびをしているカバが出来た。

次の日も、その次の日も石を見つけてはポケットに入れて持って帰ってきた。

キリンやペンギンウサギにシマウマなど、どんどん動物たちは増えていった。

でも、ある日、いつも通りポケットに石を入れようとしたら、ポケットが破れてしまった。

そして、帰ってきたお父ちゃんに怒られた。

男の子は泣きながら訳を話した。

その夜、お父ちゃんは長いことかかって、ポケットを直してくれた。

明日は男の子とお父ちゃんがいつものように病院へ行く日だから。

『あっ!みーつけたっ!!』の素敵なところ

  • 見立てて作る遊びの面白さが詰まっている
  • 男の子の優しさが目に染みる
  • 約束のその後

この絵本には身近なものを見立てて、それを元に作って遊ぶ楽しさが詰まっています。

そこらへんに落ちている石を、ライオンみたいだと思った所からこの計画は始まります。

この男の子は見立てるだけでなく、それに色を塗り、顔を描き、素材を活かしつつ強そうなライオンを完成させます。

このひと手間が、この遊びの魅力を大きくアップしているのです。

また、石を見つけるページと、色を塗るページが別になっているのも面白いところ。

拾った石を見て、「あ、ワニだよ!」「ゾウじゃない?」など、子どもたちも想像が膨らみます。

ですが、色を塗ったところでも終わらないのがこの男の子のすごいところ。

石の動物たちを空き箱に集めていき、柵や背景を描き入れて、動物園にしてしまうのです。

使っているのは全て身近な材料で、自分の力だけで完成させてしまいます。

これは子どもたちにも「自分にも出来そう」と思わせてくれ、「やってみたい」に変わっていきます。

工夫次第で何でもできる。

そんな工作の醍醐味が伝わってくるのです。

さて、そんな動物園を一生懸命作ったのにはある理由がありました。

それは大切な家族のための、とてもとても純粋で優しい理由。

読んでいる方も油断をすると、涙が出てくるので注意が必要です。

そこで交わされる力強い約束。

そして、最後のページはその約束から1年後。

約束のその後がさらっと描かれる、にくい演出をしてくれます。

工作の魅力が目一杯詰まった前半。

優しさの目一杯詰まった後半。

両方を通して、優しさや家族の力を感じさせてくれる絵本です。

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