作:くすのきしげのり 絵:大島妙子 出版:光村教育図書
道端に落ちている色々な形の石。
それに色を塗ると動物に大変身。
路傍の石から、様々な動物が生まれます。
でも、そんなことをしているのには、ある秘密があったのです。
あらすじ
男の子は学校からの帰り道、ライオンみたいな石を見つけ閃いた。
ジャンバーのポケットに入れて持って帰えり、色を塗ると強そうなライオンが完成した。
次の日、また違う形の石を見つけた。
またポケットに入れて持って帰ると色を塗り、今度はあくびをしているカバが出来た。
次の日も、その次の日も石を見つけてはポケットに入れて持って帰ってきた。
キリンやペンギンウサギにシマウマなど、どんどん動物たちは増えていった。
でも、ある日、いつも通りポケットに石を入れようとしたら、ポケットが破れてしまった。
そして、帰ってきたお父ちゃんに怒られた。
男の子は泣きながら訳を話した。
その夜、お父ちゃんは長いことかかって、ポケットを直してくれた。
明日は男の子とお父ちゃんがいつものように病院へ行く日だから。
『あっ!みーつけたっ!!』の素敵なところ
- 見立てて作る遊びの面白さが詰まっている
- 男の子の優しさが目に染みる
- 約束のその後
この絵本には身近なものを見立てて、それを元に作って遊ぶ楽しさが詰まっています。
そこらへんに落ちている石を、ライオンみたいだと思った所からこの計画は始まります。
この男の子は見立てるだけでなく、それに色を塗り、顔を描き、素材を活かしつつ強そうなライオンを完成させます。
このひと手間が、この遊びの魅力を大きくアップしているのです。
また、石を見つけるページと、色を塗るページが別になっているのも面白いところ。
拾った石を見て、「あ、ワニだよ!」「ゾウじゃない?」など、子どもたちも想像が膨らみます。
ですが、色を塗ったところでも終わらないのがこの男の子のすごいところ。
石の動物たちを空き箱に集めていき、柵や背景を描き入れて、動物園にしてしまうのです。
使っているのは全て身近な材料で、自分の力だけで完成させてしまいます。
これは子どもたちにも「自分にも出来そう」と思わせてくれ、「やってみたい」に変わっていきます。
工夫次第で何でもできる。
そんな工作の醍醐味が伝わってくるのです。
さて、そんな動物園を一生懸命作ったのにはある理由がありました。
それは大切な家族のための、とてもとても純粋で優しい理由。
読んでいる方も油断をすると、涙が出てくるので注意が必要です。
そこで交わされる力強い約束。
そして、最後のページはその約束から1年後。
約束のその後がさらっと描かれる、にくい演出をしてくれます。
工作の魅力が目一杯詰まった前半。
優しさの目一杯詰まった後半。
両方を通して、優しさや家族の力を感じさせてくれる絵本です。
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