作:鈴木のりたけ 出版:PHP研究所
生活に欠かせないトイレ。
でも、いつも同じだとなんだか飽きてきます。
あんなトイレや、こんなトイレがあったらなぁ・・・。
あらすじ
男の子がいつも通り便座に座り、トイレをしています。
でも、男の子は思いました。
「たまには違うトイレでしてみたい」と。
例えば、ふにゃふにゃトイレ。
座ったお尻に合わせて、トイレがふにゃりと曲がってくれる。
姿勢が悪いと落ちてしまうけれど。
高いトイレがあったら、よじ登るのに一苦労。
早めにいかないと登っている間に漏れてしまう。
他にもルーレットイレやあてっこトイレ。
どんどん色んなトイレが思いつく。
子どもたちにそれぞれあったトイレも考えてみよう。
本が大好きユキちゃんには図書館トイレ。
足の速いケンくんには50メートルトイレ。
自分にはトイレットコースター・・・。
って、入ってみると便器がなくなっている。
レールの先を見てみると、とんがり頭の毛むくじゃらが便器に乗って走っている。
男の子はコースターのレールを走って追いかけた。
トイレの町にトイレの港、サーキットイレと追いかけてきて、トイレの森まで来てしまった。
みんなの協力で、なんとかとんがり頭の毛むくじゃらを捕まえた。
しかし、話を聞くと、楽しそうだから乗りたくなっちゃっただけみたい。
そこで男の子はいいことを思いついた。
さて、一体どうするのでしょうか。
『ぼくのトイレ』の素敵なところ
- どんどん広がるトイレのアイデア
- 細かく描かれたトイレの世界での楽しい絵探し
- トイレとは思えない壮大さ
この絵本でまず魅力的なのは予想外のトイレの数々でしょう。
ふにゃふにゃトイレから始まり、氷のトイレ、早押しトイレなど、無限に出てくるのではないかと思うほど、どんどんトイレが出てきます。
もちろん絵までしっかりつけて。
もう、見ている子は大盛り上がり。
「このトイレがいい!」
「こんなトイレはどう?」
「これじゃお尻が凍っちゃうよ~」
などなど、好きなトイレを選んだり、自分だけのトイレを発明したり、出てきたトイレの使い心地を想像したり、それぞれの楽しみ方をしていました。
そんなトイレの世界はどんどん広がっていき、ついには個室を飛び出します。
町に港、サーキットに森。
どのロケーションもトイレ尽くしで、細かく描き込まれています。
町ではトイレ電車が走り、中古のトイレが売られ、便器遊具のある公園だってあります。
見ているだけで面白いトイレの世界で、目を凝らしてとんがり頭の毛むくじゃらを探さなくてはなりません。
これが面白くないはずありません。
さらにとんがり頭の毛むくじゃらを見つけた子には、追加問題も用意されています。
全部見つけたらトイレ博士。
この世界観にどっぷり浸かることが出来るのです。
さて、細かく描き込まれたこの絵本ですが、たまにトイレの話とは思えない壮大さを見せつけてきます。
夜空にかかるトイレットコースターのレールを走っている時など、SF映画かのような壮大さで思わずトイレの話なのを忘れます。
もちろん男の子はズボンとパンツをはいていないし、宇宙船ではなく便器なのですが・・・。
そういった地味な題材と壮大さのギャップが、この絵本をより魅力的で飽きないものにしているのでしょう。
いつも使っているものもアイデア次第で無限に面白くなる。
そんなことに気付かせてくれる、壮大な空想絵本です。
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