水曜日の本屋さん(5歳~)

絵本

文:シルヴィ・ネーマン 絵:オリヴィエ・タレック 訳:平岡敦 出版:光村教育図書

いつも水曜日の同じ時間に同じ本を読んでいるおじいさん。

いつも水曜日の同じ時間に絵本を読みに来る女の子は、気になっていました。

あの本は面白いのかな?

読み終わるまでに売れてしまわないといいな・・・と。

あらすじ

水曜日は学校うが休みなので、女の子はいつも本屋さんに行った。

すると、決まっておじいさんが店に来た。

女の子は絵本を読む。

おじいさんは分厚い戦争の本を読む。

女の子は絵本が楽しくてクスクス笑う。

おじいさんは本を読みながら時折涙を拭いた。

それを見ていた女の子に気付き、おじいさんは言った。

「年を取ると、涙もろくなってね」と。

その日は、女の子が本屋に来るのが遅くなった。

女の子が来た時には、おじいさんは帰り支度をしていた。

おじいさんは店を出る時に本屋のお姉さんへ言った。

「この本が売れてしまわなければいいのだけれど」と。

次の水曜日。

おじいさんは来なかった。

女の子は病気にでもなったのかと心配した。

いつもおじいさんが読んでいる本を見てみると、中身は文字ばかりで、ずっしりと重たかった。

重すぎるから来るのをやめてしまったのかと心配になった。

別の水曜日。

おじいさんが本屋さんに来ていた。

おじいさんは帰り際に「この本が、まだしばらく売れずにいてほしいね」と言った。

クリスマスが近くなり、本屋のお姉さんが店内にクリスマスの飾りつけを始めた。

女の子とおじいさんにボンボンをくれた。

クリスマスまであと三日というところで、おじいさんの読んでいた本が消えた。

女の子も手伝って探したけれど見つからなかった。

そこへ本屋のお姉さんがやってきて、今朝売れてしまったことを教えてくれた。

どうやら、クリスマスプレゼントとして買われていったらしい。

おじいさんはコートを着て、帽子を被ると「それじゃあ、さようなら。よいクリスマスを」と言い、店を後にしようとした。

本がなくなってしまい、もうおじいさんはお店に来なくなってしまうのでしょうか。

『水曜日の本屋さん』の素敵なところ

  • ミステリアスなおじいさん
  • 女の子の子どもらしい目線
  • 売れてしまった本の優しい秘密

この絵本で存在感を放つのが本屋さんに来るおじいさんだと思います。

物静かで本を読んでいるだけなのになんだか気になるおじいさん。

いつも同じ本を読んでいるのに買うことはなかったり、

とっても動きがゆっくりだったり、

急に本屋さんに来なくなったり。

読んでいる方も、おじいさんの秘密が気になってしょうがありません。

「買ったらいいのにね」

「おじいさんどうしちゃったんだろう」

と女の子と一緒に、子どもたちも考えます。

でも、おじいさんがこれだけミステリアスに見えるのは、実は女の子の目線だからなのだと思います。

この絵本の語り手は女の子。

本当はおじいさんは毎日本屋に来ているかもしれないけれど、女の子は水曜日しか来ないので、おじいさんもいつも水曜日だけ来ている気がするし、

泣いているおじいさんが「涙もろくなってね」と言うと、「本当にそれだけなのかな?」と勘繰るし、

絵本の方が面白いのに、なんで分厚い戦争の本なんて読むんだろう?と不思議です。

そんな女の子の「どうして?」が積み重なり、おじいさんがとてもミステリアスに見えるのです。

さて、ある日。

おじいさんと女の子の心配事が現実になってしまいます。

おじいさんのいつも読んでいた本が売れてしまったのです。

しかし、そこにはある秘密がありました。

クリスマスならではの優しい秘密が。

水曜日の本屋さんの中だけの狭い狭い人間模様。

だからこそ優しく温かい読み終わったらにっこりしてしまうクリスマスの絵本です。

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