作:エルヴェ・テュレ 訳:たにかわしゅんたろう 出版:ポプラ社
身の回りに溢れる音。
楽しい音、悲しい音、はじける音、小さな音。
そんな様々な音やリズムと気の向くままに遊んでしまおう。
あらすじ
絵本の語り手と遊ぶことになった。
ページ中央にある青い丸。
そこに指を当てると「ぽん!」という音。
今度は小さい丸に指を当てると小さく「ぽん!」。
大きい丸に指を当てると大きく「ぽぉぉん!」。
小さい丸、小さい丸、中くらいの丸の順に指を当ててついていく。
次はどんどん大きくしていって・・・その後はどんどん小さくしていく。
お次は縦に並んだ「ぽん!」を数えてみる。
一個で「ぽん!」。
二個で「ぽん ぽん!」
三個で「ぽん ぽん ぽん!」。
さらにリズムをつけたり、物凄くたくさん出てきたり。
色んな「ぽん!」を楽しんでいたら・・・。
新しい友だちが現れた。
それは赤い丸。
指を当てると「ぱん!」。
「ぽん!」と「ぱん!」がおしゃべりしたり、けんかしたり、仲直りしたりしているとさらに友だちが・・・。
『おとえほん』の素敵なところ
- 音を見て、触って、音と一緒に遊べる
- みんなで楽しめる同じ音
- それぞれ違う自分だけの音
普段は目に見えない音を、目で見えるようにして、さらには触れるようにしてくれたのがこの絵本。
大小様々な、青、赤、黄色の丸を指で触ると、それぞれに合わせた音が出る。
もちろんその音は読み手や自分が口で言うのですが、だからこそ色々な音が出て面白い。
指で丸を追いかけつつ、色々な音を出すのは、まさに音と一緒に遊んでいるよう。
普段は受動的に聞くことが多い音と、歌や楽器以外で能動的に関わることは意外とありません。
それが自分の身一つで、こんなにも自由に出来るのです。
さて、最初は簡単なところから。
小さな丸、大きな丸、リズムをつけた丸というように、誰がやっても同じような音が出ます。
だから、みんなで一緒にやると大盛り上がり、合わせて言うのもとても楽しい場面です。
読み手に合わせて「ぽん!」と言ったり、子ども同士で「いくよ!せーの!ぽん!」と合わせたりして遊んでいました。
でも、段々複雑になってきます。
「口喧嘩をしている風に」、「けものののど自慢」「歌うように」「けんかでぶつかり合っているように」など、表現の幅が増えていくのです。
すると、今度はそれぞれの個性が光る音が。
みんな違うし、日によっても違います。
子どものような口喧嘩、大人のような口喧嘩、低く唸る子、吼えるような子などなど、その音は千差万別。
それぞれのイメージ音になって現れます。
考え音を出す姿は、自分と深く向き合っているようです。
さらに、最後には自分の音も発明していいと言われるのですからもう大変です。
自由度はMAX!
好きな音を好きなように創り、自分の音の世界が出来上がっていくのです。
普段はあまり意識しない音。
それを集め、凝縮し、一緒に遊べるようにしてくれた絵本です。
コメント