作:三池悠 出版:PHP研究所
3兄妹が向かったのは大きなお屋敷。
中に入ってみると、なんと忍者屋敷だったのです。
楽しい仕掛けが満載のお屋敷冒険が今始まります。
あらすじ
一番上の男の子とん、真ん中の女の子くる、末っ子の女の子りん。
3人合わせてとんくるりん。
日曜日に、3人は森に住んでいる、じいじの屋敷に出かけた。
屋敷の大きな門を叩いてみたが、誰も出てこない。
そこへ白猫が現れた。
白猫についていってみると、塀に木戸があった。
とんくるりんは木戸をくぐり塀の中へ。
そこは立派な松の庭。
白猫は庭にある枯れ井戸に飛び込んだ。
とんくるりんも後に続くと、秘密の地下の道がお屋敷の中へ続いていた。
白猫は押し入れの中へと入っていく。
とんくるりんも押し入れを通ると、出てきたのは隣の部屋の掛け軸の裏。
白猫はさらに走って、仕掛け扉の中へ。
とんくるりんも仕掛け扉をくぐると二階へ続く梯子があった。
二階へ昇ると、さらに上へ行く道がある。
登った先は屋根裏部屋。
色々なものが置いてある中、光る穴が空いていた。
そこへ飛び込む白猫。
とんくるりんも意を決して飛び込んだ。
穴の先はどこに続いているのでしょう?
じいじは一体どこにいるのでしょうか・・・。
『とんくるりんのおやしきだいぼうけん』の素敵なところ
- 見ているだけで楽しくなる仕掛けが満載の忍者屋敷
- 読んでいるだけで楽しい語呂のよい文章
- 屋敷の中、全てのページに隠れている忍者
この絵本の一番の魅力は楽しすぎるお屋敷探検だと思います。
隠し扉や、秘密の道のオンパレード。
降りたり昇ったりと大忙しです。
また、次のページをめくると、次の部屋という連動もこのワクワク感をさらに盛り上げてくれます。
扉や梯子を上った時、「今度はどこに繋がっているんだろう・・・」とワクワク。
ページをめくると、畳の下や掛け軸の裏など、予想外の所から出てきて「そこに繋がってたのか!」と3兄妹と同じ目線で冒険できるのです。
仕掛けだけでなく、お屋敷の中に置いてあるものなども細かく描き込まれているのも素敵なところ。
昔ながらの桐箪笥、巻物、忍者道具など、探せばきりがないほどの物が置いてあり、そのどれもが興味をそそるものばかり。
「あ、手裏剣がある!」
など、見ているだけで目に付くものが盛りだくさんで、子どもも大忙しです。
読んでいる間中、発見の声がやみませんでした。
見ているだけで楽しいこの絵本ですが、目だけでなく耳も楽しいのがもう一つの魅力です。
この絵本の文章は全て語呂よく作られているのです。
例えば、
「とんくるりんのにちようび もりにすんでるじいじのいえへ あるいておでかけ てくてくてく」
「たどりついたもりのなか どんとそびえるおおきなもん どんどんどん どんどこどん いくらとびらをたたいても じいじはちっともでてこない」
というように、語呂がよく、自然とリズミカルの読めるので、聞いていても読んでいても、楽しく気持ちがよいのです。
リズミカルにテンポよく進んでいくお屋敷探検は、癖になってしまいそうです。
そんなお屋敷探検ですが、3人と1匹の他に実はもう1人隠れています。
松の木に紛れたり、岩の影に隠れたりと、全てのページでこっそり3人を見ているのです。
子の忍者を探すのも面白く、毎回いることに気付いた子は、次のページに行くと冒険そっちのけで忍者を探し始めるのが面白いところ。
そして、その見つける速度の速いこと・・・。
でも、この忍者の正体は臭わされるけれど明かされません。
それにより「きっとじいじが忍者だったんだよ!」「絶対そうだよね!」と終わった後も会話が盛り上がっていました。
描き込まれた仕掛け満載のお屋敷を、語呂のよい楽しく気持ちの良い文章で冒険する。
まるでとんくるりんと一緒にお屋敷冒険をしている気分になれる絵本です。
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