作:おのりえん 絵:森環 出版:理論社
ある村の年長さんはドラゴンとともに育ちます。
そして、あるお祭りを通して大人の仲間入りを果たします。
そこには自分たちだけで乗り越えなければならない多くの壁が。
行事などで年長さんが頑張る前に読みたい絵本です。
あらすじ
ある村に生まれた男の子アオバ。
その村に生まれる子はドラゴンの卵を握って生まれてくる。
そして一生の相棒になる。
アオバの相棒のドラゴンの名前はアオ。
二人はともに育ち6歳となった。
この村では6歳の子を年長と呼ぶ。
そして初めての仕事が与えられる。
それは祭りで使う豆を育てて収穫すること。
世話だけでなく畑の場所を決めることまで全部自分たちでやる。
年長たちは相棒のドラゴンが遊んでいる森の近くに畑を作った。
そのおかげでドラゴンたちも世話をしてくれたくさんの豆が収穫できた。
そうこうしているうちに闇開きの月祭りが近づいてきた。
この祭りを通して、年長は大人の仲間入りを認められる。
祭りの前日、アオの背中に羽が生える兆しが見えた。
それを見ていたアオバは不安になった。
大人はドラゴンと暮らしていない。
羽が生えたら離れ離れになってしまうのではないかと。
アオバとアオはどうなっていくのでしょうか。
『ぼくのドラゴン』の素敵なところ
- 世界観を壊さず、現実の世界の子どもとリンクさせている
- ドラゴンが相棒という憧れる設定
- 起承転結がはっきりしていて朗読に程よい長さ
ファンタジーな世界観で保育園などはありません。
でも、村では6歳の子を年長と呼び、学校に行く一歩手前と表現されているなど、「わたしたちと同じだ」と世界観を壊さずにリンクさせています。
それにより、自分たちも村にいるかのように入り込んでしまいます。
その頑張っている姿に、自分も頑張ろうやってみようという気持ちにさせてくれます。
また、ドラゴンが相棒で一緒に成長して大きくなっていくという設定は誰もが夢見るのではないでしょうか。
美しい挿絵と相まって、夢の世界へ空想の翼を広げてくれます。
そして、所々で挿絵を見せつつ読む朗読に適した絵本です。
『おしいれのぼうけん』と『エルマーとりゅう』の間くらいの長さでしょうか。
4話構成なので、一日一話の1週間で読み切れるので朗読絵本の導入としても読みやすいです。
行事の前などに読むと、「さあやろう!」という気持ちにさせてくれる、特に年長さんにおすすめの絵本です。
『ぼくのドラゴン』のおすすめの読み方
- 行事前に合わせて読む
- 2話目以降は、始める前に前話のあらすじを話す
- ゆっくりと一文一文理解しながら聞ける速さで読み、その場面に合わせて絵を見せる
この絵本が最も子どもとリンクするのは行事前でしょう。
準備をしてきて、いざ本番というタイミングに合わせて読み終わるようにすると、そっと子どもの背中を押してくれると思います。
1話の分量が結構あるので、読み始める前に前回のあらすじを伝えていくと、途中でわからなくなりにくいと思います。
特に最終話の前には全体のあらすじを伝えてもいいかもしれません。
そして、基本的に文章だけなので普通の絵本よりもゆっくり読んでいかないとわからなくなってしまいます。
意識してはっきりゆっくり読んでいきましょう。
また、挿絵の場面に文章が来たら絵を見せていくと、理解を助けてくれたり、頭の中で思い描いていたものが形になってより感動すると思います。
あっという間にファンタジーの世界に子どもたちを惹きこんでしまうこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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