著:西成活裕 聞き手:郷和貴 出版:かんき出版
あの頃はテスト勉強や受験のために必死にやっていた中学・高校数学。
算数から公式や定理などが一気に増え、そこで挫折してしまった人も多いのではないでしょうか?
この本はそんな人への珠玉の一冊。
- 社会人になり数学を学び直したいけど、何から手を付けたらいいやら・・・
- あの時やってたことって、なんの役に立つのだろう?
- 子どもに聞かれたときに胸を張って教えられるようになりたい!
こんなことを考えている人には、まさに数学のバイブルになることと思います。
それでは内容を見ていきましょう。
対話形式のわかりやすい文章・無駄を極限まで省いた内容
この本はタイトルからもわかる通り、文系男子の聞き手である郷さんに、数学教授の西成先生が数学の授業をするという、対話形式で進んでいきます。
でも、授業と言うより、日常会話のようなやり取りで、わかりやすくとっても和みます。
ゆるかわなイラストもふんだんに使われていて、数学の本とは思えないほど読みやすく、西成先生の熱のこもった魅力的な話にどんどん引き込まれていくのです。
また、その授業内容も特筆すべきものでしょう。
西成先生は言います。
「学校の教科書は類似問題を解かせるのと、例外的な問題をやらせるのに時間を使い過ぎている」
そう言う通り、このシリーズでは中学・高校それぞれの3年分の教科書を5~6時間で終わらせてしまうのです。
さらにゴールを明確にし、そこに向かってやることが体系化されているので、迷子になることなくゴールまで行けるようになっているのです。
公式にこだわらない、実用的な解き方
数学と言えば、数々の難解な公式が出てきます。
意味も分からず丸暗記してテストを乗り切った人も多いはず。
本書でももちろん公式は出てきます。
ですが、西成先生が、
「重要なのは公式よりも、なぜそうなるかを理解する論理的思考力」
だというように、公式を使って解くことよりも、その論理的考え方に重点を置いて授業が進んでいきます。
その解き方も、公式を使わない、よりわかりやすい解き方が多く、自然と頭に入ってくるのです。
暗記というより、考え方がアップデートされていく感じに近いのではないでしょうか。
実社会を意識した数学の説明と文章問題
本書の大きな魅力に、常に実社会での使われ方を土台に置いた数学の解説をしていることが挙げられます。
二次方程式や数列、微分積分など、「こんなことしても使わないから、意味ないし・・・」と思った人は多いと思います。
ですが、本書を読むとこの考え方が大きく変わります。
- それが実社会でどんな使われ方をしているか?
- 身近な問題も数学で解決できること。
これらをそれぞれの単元と絡めて教えてくれるので、中学・高校のころと見方がまったく変わってくるのです。
なにより、数学の面白さを感じることで、身近な問題を数学を使って解決してみたいという気持ちが強くなってくることに驚きを感じます。
例えば、二次方程式では「家のドアに猫用の出入り口を作りたい。その大きさを二次方程式を使って求める」。
微分積分は「サッカーチームを強くするために、課題を細かく分けていくのが微分。それを足し合わせていくのが積分。」
などなど、どう使うか、どんな使われ方をするかを明確化してくれるおかげで、具体的なイメージを持ちながら勉強できるのです。
iPhoneの関数電卓を使い倒す社会人にぴったりの数学
さて、考え方もわかったし、式の展開も出来るようになった!
しかし、実数値を出す計算が大変だし、面倒くさい!
そんな人も安心してください。
本書は社会人に向けて書かれた本なのです。
手計算する縛りなどありません。
分数、√など、面倒くさい計算は関数電卓に任せましょう。
指数関数など、文系だとおそらく使うことのない関数電卓の使い方まで写真付きで教えてくれます。
さらに驚くべきは、この関数電卓がiPhoneに備わっていたこと。
数学の考え方さえわかっていれば、特別な準備なく複雑な関数や式からの数値も簡単に計算できるのです。
また、本書の最後にはエクセルで関数を使った未来予測の仕方も少し出てきます。
これも文系一直線だった人には目からうろこ。
数学の可能性や、実際に色々試してみたくなるのです。
まとめ
タイトル通り、文系の私に超わかりやすく数学を教えてくれる本書。
個人的には数学をやり直せたことよりも、
- 数学って面白い!
- 数学を自分で使ってみたい!
- もっと他のことも知りたい!
と、思わせてくれる本であったことが驚きでした。
西成先生の数学への愛や、わからない人目線での洗練され過ぎた教え方。
文系の自分を代弁してくれる、聞き手である郷さんのさり気ない疑問。
それらが組み合わさって、中学・高校数学で挫折した人にはぜひ読んで欲しいバイブル的一冊だと確信しています。
コメント
数学の言葉の基本を数の言葉ヒフミヨ(1234)として、≪…もっと他のことも知りたい!…≫を、絵本で・・・
「すうがくでせかいをみるの」
「もろはのつるぎ」
おもしろそうな絵本の紹介ありがとうございます!
「すうがくでせかいをみるの」はおもしろそう過ぎて、すぐに購入してしまいました。
読むのが楽しみです。
「もろはのつるぎ」は調べたのですが、一般に流通していなさそうで、読むには有田川町に行くしかないのでしょうか?
ぜひ読んで見たい絵本なのですが・・・。
≪…「もろはのつるぎ」…≫は、有田川町ウエブライブラリーで閲覧できる。
情報ありがとうございます!
さっそく見てみました。
かなり難解で、ぼくの数学力だとまとめちゃんが出てきたところで、内容がわからなくなってしまいました。
ただ、解説してもらうなどしてわかったら、数や計算などの根底にある考え方がわかったり、知的な達成感があるんだろうなと感じました。
理解している人が、よりかみ砕いて子どもに実際手を動かしながら伝えていったら、数学がよりおもしろいものに感じられそうだなと思える一冊でした。
定期的に、読み返してトライしてみようと思います。
ここに訪問でき感謝しています。
数の言葉ヒフミヨは、カタチ(〇△□ながしかく)からの送りモノとして捉えたい・・・
『自然比矩形』=『ちいさいへこんださんかく』+『もろはのつるぎがた』
+『ちいさいふくらんださんかく』
1×(e-1)=(e-2)+(3-e)+(e-2)
シナプス(ひげ)の働き(計算)により
1×(e-1)=(1)+(e-2)
『自然比矩形』=『へこんだながしかく』+『ちいさいふくらんださんかく』
シナプス(ひげ)の働き(計算)により
1×(e-1)=(e-2)+(1)
『自然比矩形』=『ちいさいへこんださんかく』
+『おおきいふくらんださんかく』
で、進み行く二次元(平面(□(1×1=1))を創り続けるコトが、進み行く自然数に観える・・・
『自然比矩形』の左縦辺(1)と横底辺(e-1)と右縦辺(1)の線分の分割は、(1)=(1/e)-(1-1/e)により、L線分に内在する(i e)と右縦辺(1)の分割線分の比は、
1/(e-1) と (1/e)/(1-1/e)=1/(e-1)
と生り、L(2次元)線分が、1次元線分を同じ比にするのが『自然比矩形』に観える。
十進法の基における西洋数学の成果の符号(i e π) 菩薩的作用素(?)[1][0]と算数(離散)と数学(連続)を繋ぐ魂(無限(∞))とで、人(私たち ホモサピエンス)が、スービタイズ(1234)を「ヒフミヨイの歌」の魂で、言葉の点線面 カタチ(〇△□) 演算符号(+-×÷√=) 極座標と直交座標の繋がり 数式 方程式 などをウマクウマク纏め上げている・・・
解説ありがとうございます!
形と式を対応して下さり、かなり言わんとしていることがすっきりしました。
数字と図形と演算符号の繋がりの方向性というか、流れのようなものがわかったことで、絵本の流れがわかりやすくなりました。
改めて、この内容を絵本としてまとめ上げたことに驚いています。
まだまだ知らなかった絵本の可能性です。
『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』での数学への興味を、メインで扱っている絵本と繋げて紹介してくださったことへも、感謝と敬意を感じています。
丁寧なご紹介と、アフターケアまでありがとうございました!
2024年5月21日朝日朝刊の「数学見つめ直すと」に西成活裕さんは、[ 同じ場所での用事をまとめて効率的に済ます。これは、共通項をくくる「因数分解」です。 ]は、数学の基となる自然数を大和言葉の【 ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と 】の平面・2次元からの送りモノとして眺めると、『自然比矩形』から[正方形](□)にまとまるコトは観てきた。
自然数そのモノが、1・2・3・4次元で閉じ(計算でき)ているのを、おとぎ話的に絵本の力で福本友美子訳ワールドの「ひよこのコンコンがとまらない」から『ヒフミヨ(自然数)のコンコンがとまらない』を「言語の本質」の[オノマトペ]から探ると[コンコン物語]になるとか・・・
自然数のキュレーション的な催しがあるといいなぁ~
コメントありがとうございます!
西成さんの言葉だけでも「なるほど!確かに!」と思いましたが、それをさらに自然矩形から正方形へまとめることへ、数学の世界へより深く踏み込んだ視点で見てみると、
西成さんがいかに一般人と数学者の通訳者としての役割を果たしているのか再認識させられます。
これまでに頂いたコメントを西成さんに見ていただく機会があったら、さらにおもしろい化学反応が起こり、「絵本(物語)と数学」というテーマの本にすらできるのではないかと思ってしまいます。
「ひよこのコンコンがとまらない」は読んだことがないので、ヒフミヨのコンコンのイメージが湧きませんが、今度読んだ時にその視点でも見ていみたいたなぁと思います。
「ひよこのコンコンがとまらない」から「コンコン物語」への変換も、「絵本と数学」というテーマにぴったりの題材かもしれません!
自然数のキュレーション的な催し、とても素敵ですね!
きっとそういう催しが、当たり前のように開催されていけば、たくさんの人がそのおもしろさを知るきっかけになると思います。
むしろ、小学校や中学校の算数・数学は、そんな楽しいキュレーション的な内容であったらいいのになぁとも。