作:ガリア・バーンスタイン 訳:なかがわちちろ 出版:あすなろ書房
サイモンは、猫である。
そんなサイモンはふと気づいた。
ライオンやトラ、チーターなどが自分と似ていることに。
そこで、言ってみた。
「ぼくたち似ていますね」と。
あらすじ
ネコのサイモンは言った。
「ぼくたち、似てますね」と。
ライオンやトラ、チーターにピューマ、クロヒョウたちはそれを聞いて呆気にとられた。
そして、みんな大笑い。
ライオンは言った。
「一緒にしてもらっちゃ困る。たてがみもあるし、百獣の王だぞ」と。
チーターも言った。
「このすらりと長い足を見てくれ。世界一速く走れるぞ」と。
ピューマは「岩を軽やかに飛び移れる」と言い、クロヒョウも「ジャングルなんてみたことないだろう?」と言った。
トラだって「俺は大きく強く美しい」と言ってきた。
サイモンはしょんぼりしながらも「なんとなく似てると思ったんだけど・・・」と言っている。
そこで、ライオンたちはお互いを見比べ、似ている所を探してみることにした。
すると、次々と出てくる似ている所。
一体どんなところが似ているのでしょうか。
『サイモンはねこである。』の素敵なところ
- 全然違うようで探すと見つかる共通点
- 偉そうだけどちゃんとサイモンの話を聞いてくれる猛獣たち
- やっぱりネコ科だなーと感じる最後
小さくて丸っこいネコと、野生で生きる猛獣たち。
体の大きさも、模様や能力も大きく違います。
でも、共通点を探してみると結構あるもの。
よく聞こえる耳や長い尻尾など、ネコ科同士の共通点がたくさんありました。
ライオンなどがネコの仲間だと知っている子も「確かにここが同じだ!」とその意味に納得した様子です。
しかし、これは自分たちにも当てはまるのが面白いところ。
普段全然違うと思っていた友だち同士で、共通点を探してみると、意外と色々な共通点が見つかるのです。
ほんのちょっと目線を変えるだけで、たくさん共通点が見えてくる。
そんなことに気付かせてくれるのです。
さて、最初はサイモンをバカにして大笑いしていた猛獣たち。
ネコと自分たちがどんなに違うかを上から目線で説明します。
ですが、この猛獣たち。
驚くほど素直で聞く耳を持っています。
だって、サイモンの言葉に耳を傾け、似ている所があるか真剣に考えてくれるのですから。
似ている所を見つけるのもサイモンではなく猛獣たち。
自分たちで共通点を見つけ、納得するのです。
この素直さがこの絵本に清々しい空気感を作っているのだと思います。
読んでいて気持ちがいいのです。
そして最後の場面。
一生懸命考えて共通点を見つけた動物たちは、仲良くなり一緒に遊び始めます。
もう、この場面が全員ネコ!
じゃれる姿はネコそのもので、可愛いことこの上ない。
ゴロゴロと喉を鳴らす音が聞こえてきそうなほど、楽しそうにのびのびと遊んでいるのです。
普段から気付きやすい違い。
でも、少し見方を変えれば共通点が見つかることを、ネコ科の動物たちが気付かせてくれる絵本です。
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