作:わたなべちなつ 出版:福音館書店
見ているだけでおもしろい鏡の世界。
ただ映るだけでなく、角度によっても見え方が変わります。
そんな不思議を自分の手で思う存分楽しめる絵本です。
あらすじ
ある日、鏡の中のピエロから、鏡の中へ誘われた。
一緒に行くとそこにはサーカスのテントがあった。
男の子は特別に鏡のサーカスに招待されたのだ。
双子のクラウンによる帽子投げ。
動物たちのバランス曲芸。
本物のゾウの滑り台など楽しい演目が目白押し。
そして最後は目玉の演目、空中ブランコ。
無事に成功させることはできるのでしょうか。
『かがみのサーカス』の素敵なところ
- 鏡の特性を活かした不思議で幻想的な世界
- 鏡が物凄く綺麗
- 自分の手で操作できる
この絵本の最大にして全てのの魅力は鏡を使った仕掛けでしょう。
全てのページが、本を完全に開かずに、90度に開くことで完成するように描かれているのです。
サーカスのテントは半分しか見えていませんが、90度にすると反射して大きなテントになる。
双子のクラウンは一人しかいませんが、90度にすると二人目が現れます。
こんな風に、全ての演目が、開いたページを90度に閉じていくことで完成するのです。
この時の子どもの目の輝きは本当の鏡のよう。
「わ~!」「出てきたよ!」と目をキラキラ。
純粋な驚きを見せてくれます。
そんな鏡の魅力や不思議さがまっすぐに伝わってくる要因には、この鏡の綺麗さも見逃せません。
ページの鏡部分が本当に綺麗で、まったく曇りや歪みがないのです。
これにより、ページの角度を合わせた時に、「映る」ではなく、「現れる」という表現がしっくりくるほど、綺麗にページを反射してくれるのです。
これがあるからこそ、鏡の特性の面白さを十二分に感じられるのだと思います。
そして、そんな鏡を自分で好きなように操作できるのもこの絵本の大きな魅力です。
90度で綺麗に映すだけでなく、もっと角度を広げてみたり、狭めてみたりすることで、まったく違ったページなる面白さ。
これをなんの制約も受けずに、好きなように心行くまで楽しみ実験できる。
こんなにおもしろいことがあるでしょうか。
これは子どものために丈夫に、汚れにも強く作られた絵本の強みでもあります。
綺麗な鏡を思う存分操作して、試しながら楽しめる。
鏡の特性や不思議さ、おもしろさを体験していける科学仕掛け絵本です。
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