かぜがふくふく(3歳~)

絵本

作:田島征三 出版:フレーベル館

強い風が吹いてる日。

手を広げれば空だって飛べてしまいます。

でも、気持ちいいけど、危険だってたくさんある空。

今、風とともに冒険が始まります。

あらすじ

日曜日の朝早く。

お兄ちゃんのネノくんと、妹のキフちゃんは誰かの声に目を覚ましました。

その声は「ハタケニオイデ」と言っています。

二人は父さんの畑を手伝うため家を出ました。

風が二人の背中を押してくれています。

畑では父さんが野菜の苗を植えていました。

ネノくんとキフちゃんは芋掘りをします。

すると、風に乗った落ち葉が二人の顔にくっつきました。

そして、気付くと落ち葉が大きくなって、二人ともその上に乗って空を飛んでいたのです。

飛んでいるうち、野菜や虫、動物など、他の生き物も落ち葉に乗って飛んできました。

そこにトンボが飛んできて、みんなを追い越していきます。

トンボは羽を広げて上手に風に乗っているのです。

ネノくんとキフちゃんは、トンボの真似をして手を広げて風に乗ってみます。

すると、上手に風に乗れたではありませんか。

風に乗り、飛んでいると、目の前にクモの巣が。

飛んでいたみんなクモに捕まり、キフちゃんが食べられそうになっています。

すかさず、ネノくんが飛び出すと、クモの巣はバラバラに。

キフちゃんやみんなはまた飛び出すことが出来ました。

さらに飛んでいくと、急に大きな風が吹いてきました。

そこに現れたのは風の女神。

どうやら、みんなが自分の風で遊んでいることに怒っているみたいです。

一体どうなってしまうのでしょう。

『かぜがふくふく』の素敵なところ

  • 本当に風が吹いているような絵の勢い
  • 色々な方法で表現される風
  • ハラハラドキドキが終わらない夢のようなひと時

この絵本のすごいところは、本の中で本当に風が吹いているのを感じられるところです。

細かな風の流れ、飛んでいく勢い、その気持ちよさそうな姿など、いたるところで大小様々な風の流れを感じられるのです。

ページをめくるたび、風が吹く音や、風切り音が聞こえてくるよう。

こんなに生き生きと風を感じられる本はなかなかないと思います。

また、風の表現法が多様なのも面白いところです。

「ふくふくふくふく」と大量の「ふく」という字で風が吹いてくる。

「ぴゅーん!ぴゅーん!びゅーん!」と擬音で表現する。

女神が出てくる時に「ドンドコドン ドンドラドン」と登場曲のような風の音。

など、様々な風が吹いてくるのです。

これには子どもたちも面白がって、

大量の「ふく」の字に「本当にふくって書いてある!」

女神の風の音に「また、女神来ちゃったよ!」と音を聞いただけで想像する。

など、思い切り楽しんでいました。

さて、この風を感じることも大きすぎる魅力ですが、それと同じくらい魅力的なのが物語です。

顔に落ち葉が張り付いたところから物語は始まり、気付けば空の上へ。

飛ばされるだけではなく、自分で風に乗れるようになっていきます。

しかし、クモや風の女神など、ピンチもたくさん出てきます。

それを一つ一つ乗り越えていく。

そんな、ハラハラドキドキの展開が、風が吹くように息をつかせず飛び出してくるのです。

もう、目を話している暇などありません。

一瞬にして引き込まれ、「本当に空を飛んでる!」「鳥みたい!」「あぶな~い!」と、みんなすっかり物語の中で風に吹かれているのです。

それはまさに夢のような楽しいひと時でした。

勢いのある絵と物語があっという間に見ている人を魅了する。

本当に風が吹いていることを感じられる絵本です。

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