作:ジャン・フィアンリー 訳:まつかわまゆみ 出版:評論社
ホットケーキが食べたくなったオオカミくん。
一人では難しいので、みんなの力を借りようとします。
でも、みんなオオカミくんを門前払い。
仕方なく、一人で頑張って作りますが・・・。
あらすじ
ある日、お腹が空いたオオカミくんは、ホットケーキが食べたくなりました。
料理の本を開いて、作り方を調べようとしますが、上手に読めません。
そこで、お隣のオンドリさんに読んでもらおうとしました。
しかし、オンドリさんきっぱり断ると、ドアを閉めてしまいました。
オオカミくんは苦手な本を頑張って読み、必要なものを知りました。
次に材料を買いに行くので、買い物リストを作ることに。
でも、オオカミくんは字が上手く書けません。
今度はご近所の眠り小僧に頼んでみましたが、やっぱり断られてしまいます。
オオカミくんは一人っきりで、なんとか買い物リストを書き上げました。
その後も、お金を数えることや、買い物用のバスケットを貸してもらえないかをご近所に頼みに行きますが、みんなオオカミくんの頼みを断ります。
結局、すべて一人で材料を揃え、あとは焼くだけです。
しかし、料理は苦手なので、3匹の子ブタに焼くのを手伝ってくれるよう頼みました。
だけど、やっぱり断られ、オオカミくんは一人でホットケーキを完成させました。
ホットケーキが完成すると、そのいい匂いがご近所中を漂ってきました。
その匂いにつられ、ご近所のみんながオオカミくんの家へ集まってきました。
そして、なんと「ホットケーキを食べさせろ」と言ってくるではありませんか。
なにも手伝ってくれなかったご近所の人たちに、優しいオオカミくんはどんな対応をするのでしょう。
『オオカミくんのホットケーキ』の素敵なところ
- 健気に頑張るオオカミくん、一人っきりで
- 意地悪過ぎる有名キャラクター
- 衝撃的過ぎるけれどスッキリする結末
この絵本のオオカミくんは、苦手なことがたくさんありますが、とっても友好的。
困った時にはご近所に手伝ってもらおうとします。
その他の見方も丁寧で、人柄が滲み出ています。
それだけじゃなく、どんなにひどい断り方をされても、腹を立てたりしないのです。
もちろん、少し落ち込んだりはしますが・・・。
そして、一人でやりきります。
その前向きな姿がとても健気で、オオカミくんのことを応援したくなるのです。
対して、ご近所さんはびっくりするほど冷たいです。
オオカミくんが丁寧に頼んでも、
「おことわりだ!」
「やだね、あっちにいっちまえ!」
そして、ドアをピシャリと閉めてしまいます。
これには子どもたちも「ひどい!」「なんでそんなこと言うの!」と怒り心頭。
しかも、これがブレーメンを引退したオンドリさん、赤頭巾ちゃん、3匹の子ブタなどが言うのです。
これまでの常識とは真逆の立場に、これまでの見方を揺さぶられます。
これがまたこの絵本の魅力であり、面白いところでもあるのです。
さあ、そんな冷たいご近所さんたち。
しかし、ホットケーキが焼きあがるとさらなる暴挙に出るのです。
あれだけ冷たく断って、なにも手伝ってくれたのに、あろうことかこんなことを言い出します。
「ホットケーキ、よこせよ!」
さらに、食べさせないと玄関から動かないと言うのです。
これには弱ったオオカミくん。
その結論は読んでいる人誰もが予想していないことでした。
衝撃的な結末に、子どもたちの口はあんぐり・・・。
誰も言葉を発しません。
でも、確実に言えるのは物凄くすっきりすることです。
オオカミくんの苦労と努力に思わず応援したくなる。
でも、そこにはまさかの結末が待っている中々の衝撃作です。
コメント