作:黒岩まゆ 出版:小学館
ここは宇宙一の品ぞろえ宇宙百貨店。
連日たくさんの宇宙人が詰めかけ、みんな笑顔になれるのです。
でも、買い物はするけれど、不機嫌そうな客が一組。
なんとか笑顔にしようとしますが・・・。
あらすじ
宇宙の遥か彼方に宇宙百貨店があります。
そこは惑星が丸々一つ百貨店になっていて、宇宙一の品ぞろえです。
今日も色々な星から、たくさんのお客さんがやってきます。
「泣く子も笑う宇宙百貨店」というフレーズとともに、いよいよオープン。
そこにはたくさんのお店がひしめき合っています。
靴屋さんでは八本足専用ハイヒールや、ジェット機能で飛べるサンダル。
化粧品売り場では、七色の口紅。
などなど、魅力的な品々に大満足のお客さん。
しかし、売り場の様子をモニターしていた社長は気付きました。
買い物はするけれど、ずっと仏頂面の親子が一組いることに。
社長はスタッフに、もっとおもてなしをして、笑顔にするよう指示を出しました。
でも、おもちゃ売り場、洋服屋さん、レストランとおもてなしをしていっても、この親子はまったく笑わず仏頂面のままでした。
そして、遊園地でも・・・。
観覧車から降りてきても仏頂面の子どもが、お母さんを探します。
ですが、どこにも見当たりません。
どうも、迷子になったみたい。
さらに、勢いよく転んでしまった男の子。
すると、急に大笑いし始めたのです。
それを見て、なんだかわからないけれど笑ってくれて、社長は大喜び。
ただ、そこにはある理由があったのでした・・・。
『うちゅうひゃっかてん』の素敵なところ
- 宇宙百貨店の魅力的な売り場の数々
- 全く笑わない不思議な親子
- 最後に少しだけ変わる百貨店のフレーズ
この絵本でまずワクワクするのは、宇宙百貨店の売り場の様子でしょう。
入り口を入って、目の前にはたくさんの不思議な売り場が広がります。
子どもたちも「わあ!いろんなお店があるよ!」と本当に百貨店に入って来たかのような反応。
さらに、色々な店に入っていくと魅力的な商品の数々にさらにワクワクします。
七色の口紅、自動で動くおもちゃ、無重力ソフトクリームなど、魅力的な品が目白押し。
目をキラキラさせて「これが欲しい!」と口々に言う子どもたちです。
商品だけではなく、宇宙人たちの仕草がたくさん見られるのも面白いところです。
タコのような宇宙人がハイヒールをはいていたり、ロボットのような宇宙人がいたりと、お客さんも多種多様。
それぞれの形に応じたアクションをしていて、見ていて飽きません。
それと同時に、仏頂面の親子のことも気になります。
特に、社長が気付いてからは、子どもたちもどんどん気になっています。
「楽しくないのかな?」
「でも、買い物してるよ」
「怒ってるのかな?」
など、見れば見るほど疑問が積み重なっていきます。
ですが、そこには宇宙人ならではの秘密があって、社長と一緒に子どもたちもその誤解に気付きます。
「笑っていれば幸せ」
そんな常識を覆す、素敵な結末だと思います。
さらにそれを受けて、宇宙百貨店のフレーズ「泣く子も笑う宇宙百貨店」が少し変わるのも粋な計らい。
この百貨店が、常にお客さんの幸せや満足を第一にしているのが伝わってきて、宇宙百貨店のことがさらに好きになってしまいます。
宇宙ならではの不思議で魅力的な商品の数々。
それらを純粋に楽しみつつも、本当の魅力は働く人であることを感じられる絵本です。
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