作:田島征三 出版:フレーベル館
雨が降ると外で遊べなくてつまらない。
でも、雨を喜ぶ生き物もたくさんいます。
そんな生き物が家まで遊びに誘いに来たら・・・。
あらすじ
雨の日、母さんが出かけました。お兄ちゃんのネノくんと、妹のキフちゃんは留守番です。母さんは二人に、外へ出ず部屋の中で遊ぶよう言いました。
母さんがバスに乗ることができたかを兄妹が窓から見ていると、お母さんを乗せたバスが出発した後に、こちらへ来る傘が見えました。二人は母さんが忘れ物をしたのだと思いました。でも、近づいてきたのはフキの葉を傘にしたカエルだったのです。
突然、窓にびっしりとオタマジャクシがくっつき驚くキフちゃん。オタマジャクシの後はカタツムリが窓にびっしりとくっついて、二人とも目が回ってしまいます。
外では木や草や畑の野菜たちが踊っていて、ネノくんとキフちゃんも楽しくなって部屋の中で踊り出します。そうしているうち、窓の外が水でいっぱいになり、魚たちまでやってきたから大変です。魚は2人と友だちになりたそうに、ネノくんとキフちゃんを遊びに誘います。
でも、ネノくんは母さんとの約束を思い出し、きっぱりと断りました。けれど、気付いたら部屋の外にいたネノくんとキフちゃん。外は雨だらけ、水だらけ、魚だらけ。
一体どうなるのでしょう。
『あめがふるふる』の素敵なところ
- 鮮やかに躍動的に描かれる力強い雨
- いつの間にか不思議な世界へ引き込まれていく面白さ
- 大雨の中で遊びたい気持ちを満たしてくれる
この絵本の根幹である雨。外を線のように激しく降る雨が、色鮮やかに力強く描かれていきます。窓の外に雨が降る様子は本当に雨の動きが見えるようで、実際に大雨の中部屋の中にいるかのような感覚を味あわせてくれます。耳をすませば、他の音を消し去るような雨の音が聞こえてきそう。
この臨場感があるからこそ、見ている人がネノくんとキフちゃんになりきれるのだと思います。
そんな雨の中で現れる来客たち。徐々に自然に不思議な世界への扉が開かれてきます。オタマジャクシにカタツムリ、木々の踊りと、窓の外では不思議で楽しいことがたくさん起こっていて、気付けば、外は魚が泳げるほどの水で満たされ、自分たちも家を抜け出してしまっています。
この少しずつ少しずつ不思議の世界へ誘われていく感じが、子どもたちのイメージを無理なく広げてくれるのです。だからこそ、自然にこの世界に没入してしまうのでしょう。
ネノくんとキフちゃんは外に出た後も、さらに世界を広げていきます。森の動物たちとの関わりや遊びなど、まだまだ雨の魅力が盛り沢山。それを見ていると、自分も雨の中、飛び出して遊びに行きたくなってきます。子どもたちも、

外行きたいよ!



公園の池が魚でいっぱいになってるかも!
と雨遊びへの夢が膨らんでいるようでした。
読み終わった後、窓に駆け寄り、外の雨の様子を見に行くのも面白いところです。傘を持って雨散歩に出かけるのもいいかもしれません。きっとこの絵本を見た後だと、見える世界やイメージの幅が広がっているでしょう。
本物のような力強い雨が降り、その雨の中不思議な世界で思い切り遊べる、雨の日に読みたい絵本です。
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