眠れなくなるほどおもしろい「子どもの敏感期」の話

雑記

お元気様です!

登る保育士ホイクライマーです。

みなさんは、子ども特有の行動に困った経験はないでしょうか?

  • いつもと同じ流れじゃないと激怒する
  • いつも走ったり飛び跳ねている
  • いちいち気になるものを見つけ立ち止まる。

などなど、子どもならではの不思議な行動ってたくさんありますよね。

ぼくも保育士として、これらの行動には困らされてきました。

「あ~、もう!」と思うことも何度あったことか・・・。

でも、その行動の裏側を知ることで、見方がまったく変わりました

子どもの行動に興味が湧くようになり、その面白さや奥深さがわかるようになったのです。

これは保育や子育ての根幹に関わる大きな知識だと思います。

「子どもって面白い」と思うか「子どもって意味が分からない・理不尽」と思うか。

その分岐点にもなるものだと思っています。

今回はなんでこんな行動を取るのか?」というメカニズムを、「子どもの敏感期」という観点からお話していこうと思います。

意味がわからないとイラっとする行動も、意味や背景がわかれば面白いと思えるかもしれません。

「子どもの敏感期」を知ることで、子どもの成長過程をともに楽しんでいきましょう!

敏感期とは

そもそも敏感期とはなんでしょう。

それは「一生のうちに一度だけ訪れる、特別な感受性を発揮する時期」のことです。

例えば、身体は運動の敏感期には走ったり、跳んだりを繰り返すことで、必要な運動能力を身につけようとします。

全身全霊でその力の育ちを求め、最も身につきやすい時期が敏感期なのです。

そして、逃してしまうと二度とその時期は訪れません。

それくらい子どもの成長に大事な時期が敏感期なのです。

しかし、残念なことに敏感期の行動は止められてしまいがちなのが現実です。

実はこの敏感期を理解するうえで大事なことが二つあります。

  • 脳からその行動を求める信号が送られてくるため、抗えないこと
  • 子どもの時期特有の行動をともない、大人には理解しにくいこと

この二つを知っているか知らないかで、敏感期の行動に対する見方が大きく変わってきます。

ここからはこの二つに関して詳しく見てみましょう。

理性では逆らえない脳からの命令

まず、敏感期の行動は、理性でコントロールするのが難しいということを、知っておかなくてはなりません。

敏感期とは脳から「この行動をしろ」と命令され、それに体が反応して起こります。

いわば、「成長する本能」とでも言えるものなのです。

いい例えではありませんが、中毒の人は脳から中毒物質を欲するよう命令されるから、その行動がやめられませんよね。

これが理性ではどうにもならないから、治療施設が必要になってくるわけです。

敏感期の脳ではこれと似た現象が起こっています。

脳が「走れ!」というから走るし、「跳べ!」というから跳ぶのです。

ではこれを「危ないからやめなさい」と言って、理性でやめることが出来るでしょうか?

もちろん無理です。

人間の体は脳からの指令で動いている以上、本能には逆らえません。

まずは理性で抑え込もうとしても無理ということを、知っておきましょう。

子どもならではの行動

もう一つ敏感期が理解されない原因は、敏感期の行動が大人にとっては意味不明だからです。

敏感期は子ども特有の時期で、大人には現れません。

例えば、保育園までいつもと違う道順で行くと怒るや、たたんだ洗濯物を崩していくなど。

それ故に、敏感期の行動は意味不明だったり、「もっと効率よくやって」と思ってしまうのです。

しかし、もちろんこれらの行動には意味があります。

そして、大人ほど早くは成長できません。

だって、大人は何十年という積み重ねのアドバンテージの上で学んでいるのですから。

子どもは0から手探りで学んでいます

そう思えば、早くできないのも、じっくり時間をかけるのも無理のないことだと思えるのではないでしょうか。

ここからはその行動の意味を、敏感期の大きな区分「秩序」「運動」「感覚」にわけて見ていきたいと思います。

秩序の敏感期

時期:生後数か月から現れ、2、3歳ころをピークに6歳ころにはほとんどなくなる。

秩序の敏感期の特徴は「いつもと同じ」です。

  • 保育園に同じ道順で行く
  • 毎回同じ座席に座る
  • 「自分のもの」や「ママのもの」を他の人が使うと怒る

などなど、「いつもと違う」を激しく嫌がります。

このように「順番、場所、所有物、習慣」などに、強くこだわるのが特徴です。

では、これらにどんな意味があるのでしょう?

実はこれらを通して、世界の秩序感を育んでいるのです。

子どもは「いつもと同じ」を繰り返すことによって、物事の繋がりや、関係性、周囲の環境を一つにまとめることを少しずつ学んでいきます

「いつもと同じ」をしっかり繰り返すことで、「いつもと違う」にも安心して対応できる心の土台が出来上がるのです。

この時期はイヤイヤ期などとも重なることから、「反抗期だからしょうがない」とスルーされがちでもあります。

しかし、敏感期の観点を持っていると、「いつもと違う」スイッチを踏んでしまっていることに気付くことがあります。

そして、この気付きがあると、子どもの怒りが意味不明なものから、理由のある主張であることがわかります。

すると、対処の仕方もわかったり、けんかにならず一歩引いた視点で見る余裕になったりもするのです。

運動の敏感期

時期:3歳ごろ~

体の動かし方が自由になってくると、「自分の意志で体を動かして目的を達成したい」という気持ちが強くなります。

これが運動の敏感期です。

  • ひたすら走る・跳ぶ
  • 高い所や縁石に乗りたがる
  • 重い荷物や大きな荷物を運びたがる

こんな姿に心当たりはないでしょうか?

この時期は一生に一度だけ来る、「惜しまずに全力を出し切る」ことが出来る時期でもあります。

子どもはよく動きます。

鬼ごっこにもアスレチックにも全力で、走っているか、疲れ切って止まっているかのどちらかしかない子もよくいます。

「疲れるから」や「これくらいでいいか」とセーブすることなく、全力を出し切れるのがこの時期なのです。

そして、この時期を過ぎると「楽をしたい」と工夫をする時期に入っていきます。

これは悪いことではありません。

より効率よく動いていくために必要なもの。

だからこそ、気兼ねなく全力を出せる時期に、全力で体を動かす運動の敏感期が貴重でもあるのです。

しかし、ここには注意点もあります。

現代は、自然に全力を出して体を動かせる場所が少なくなっているということです。

そのため、環境によって、気兼ねなく走り回れる公園を探すなどの工夫が必要になってくることもあります。

危険のない場所や迷惑にならない範囲で、縁石など不安定な場所や高い場所に登ることを止めずにさせてあげることも大切です。

貴重な敏感期を、遊びつくせるようにしていきましょう。

感覚の敏感期

時期:3歳~6歳

この時期は育って来た五感。

すなわち、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を完成し、洗練させる時期です。

この一つ一つを使い完成させていきます。

それ故に、特別に敏感な感受性が内面に生じるのです。

  • トンネルで大きい声を出してみる
  • 好き嫌いがはっきりしてくる
  • やたらとものを触ったり、お気に入りのものを触り続ける

こんな行動はまさに感覚の敏感期の行動と言えるでしょう。

それぞれ簡単に見ていきましょう。

視覚

小さなものに気付いたり、違いなどを見分ける力が育っていきます。
気になるものを見つけると、最初の目的も忘れ、見るのに夢中になったりします。

聴覚

小さな音の違いなども聞き分け楽しみます。
トンネルなどで大きな声を出し、反響音を楽しんだり、日常の小さな音にもすぐ気づきます。

嗅覚

大人ではわからないような、微かな匂いも感じ取ります。
匂いでだれのものか判別したり、お気に入りの毛布やぬいぐるみが手放せないのも匂いに安心感を抱いているからだと言われています。

触覚

色々なものを触ってみて、その感触を確かめます。
とりあえず気になるものを触ったり、お気に入りの感触を見つけるとずっとスリスリしたりしています。

味覚

味への感覚が敏感になり、その分、これまで普通に食べていたものを嫌がったりもするようになります。
好き嫌いがはっきりしてきます。この時の味を記憶していて、「思い出の味」や「おふくろの味」になっていきます。

これらを知っているのと知らないのでは、子どもの行動への見方が大きく変わってきます。

  • 急に好き嫌いするようになってわがままになった
  • 気になるものがあるとすぐに注目してしまって集中力がない
  • 犬みたいにすぐ匂いを嗅ごうとして恥ずかしい

といった、誤解をせずに済むことも増えるはず。

なにより、知っていて見るのと、知らずに見るのでは、その行動の奥深さや面白さが全く違うと思います。

まとめ~子どもの世界はワンダーランド

今回は成長の中で避けては通れない敏感期についてお話してきました。

日頃の子どもの姿と重ね合わせ「なるほど」と思った部分もあったのではないかと思います。

もちろん、これを知ったから、どんな行動も楽しめるわけではないでしょう。

イラっとすることもあるし、寄り添う余裕がないことだってたくさんあると思います。

でもきっと、「意味不明」「理不尽」だったのが、「なんで?」と思うようにはなっているのではないでしょうか?

この「なんで?」がとても大切。

なぜなら、それが子どもを理解しようとする第一歩だからです。

「なんで?」を積み重ねて、観察したり、時には子どもに聞いてみることで、子どもの見ているものや考えていることが少しずつわかってきます。

すると、そこがディズニーランドも目じゃないワンダーランドであることがわかります。

そこまでいくともう抜け出せません。

  • 大人には思いもよらないような奇想天外な理論(でも、なんか納得できる)。
  • 斬新過ぎる切り口(たまに心を抉られる)。

などなど、子どもが変わった行動を取るたびにワクワクしてしまうのです。

こうなれば、毎日の保育や子育てがこれまでと比べ物にならないくらい楽しくなると思います。

どうせ、保育や子育てをするなら楽しい方がいいに決まっています。

ぜひ、子どもの時にしか垣間見ることが出来ないワンダーランドに足を踏み入れてみてください!

参考図書

より詳しく知りたい方や、具体例をもっと知りたい方におススメです。

お母さんからの質問や、敏感期に関するお母さんの心配事などがたくさん出てきます。

また、敏感期におススメの手作りおもちゃなども紹介されているので、とても参考になると思います。

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