きんたろうようちえん(3歳~)

絵本

作:やぎたみこ 出版:あかね書房

みんな知ってる金太郎。

そんな金太郎が園長をしている幼稚園をご存じでしょうか?

園児は人間、先生は山の動物たち。

では、幼稚園の一日を見てみましょう。

あらすじ

山の上に金太郎幼稚園がありました。

毎朝、子どもたちはロープウェイに乗って登園します。

山の上でロープウェイを動かしているのは、園長の金太郎先生。

ロープウェイの到着とともに、山の動物たちも集まってきました。

まずは子どもたち、動物たちが一緒に金太郎先生の動きに合わせ、「あさのおてんきたいそう」から始まります。

金太郎幼稚園は、園長の金太郎先生と、給食係のやまんば先生以外は、みんな動物たちが先生です。

年少組はクマ先生。

今日は幼稚園の周りをお散歩です。

年中組はオオカミ先生。

おうまごっこで、子どもたちがシカやイノシシの背に乗って、オオカミ先生から逃げています。

年長組はサル先生。

木に登って、お絵描きをしています。

みんな遊んでお腹が空くと、給食の時間になりました。

やまんば先生の作ったご飯をみんなで食べます。

今日は特別に年少組が見つけてきたクマイチゴで、ゼリーも作ってくれました。

ご飯の後はお昼寝です。

金太郎先生が絵本を読んでくれました。

一番最初に目を覚ましたあっくんが、岩の水飲み場に行くと、なぜか水が出てきません。

金太郎先生が来て、様子を見ると、岩の中から変な音が聞こえます。

それを聞くと、園長先生が大急ぎでつるはしを持ってきて、岩を砕いていきました。

岩の中から現れたのは・・・。

『きんたろうようちえん』の素敵なところ

  • 「楽しそう!」が詰っている夢いっぱいの幼稚園
  • まさに臨機応変!その日の楽しいが柔軟に作られる
  • 先生もこんな保育がしたいと思ってしまう

この絵本には「楽しそう!」「やってみたい!」「いいな~」が詰っています。

まずは登園から、ロープウェイで山の上まで登ります。

幼稚園に着く前から楽しそう。

開始一ページ目で「いいなー!」が飛び出します。

そこからも「楽しそう」が次々と出てきます。

先生が動物、クマの子との散歩、動物に乗り追いかけっこ、高い木の上からお絵描き、見つけた果物が給食に出てきて、ハンモックでお昼寝・・・。

もう、常に楽しそうで、気持ちさそうで、夢がいっぱい詰まっています。

描かれる自然も、表情も、言葉もどれも魅力的過ぎます。

子どもたちも、自分のクラスと照らし合わせて、

「やったー!クマ先生だ!」

「オオカミ先生かっこいい!」

「木登りできるようになりたかったんだ!」

と、まるで自分もそのクラスの一員になったようでした。

さて、いつもの日常も楽しさが詰まっていますが、ここは山の上の幼稚園。

いつもと違うことや、来客もたくさん現れます。

そんな時、それを自然に受け入れて、その場に合わせて「楽しい」に変えてしまうのが金太郎先生と、やまんば先生。

クマイチゴを摘んできたとなれば、それでゼリーを作ってしまうし、岩場からの来客にはその機会を楽しい遊びへと金太郎先生が発展させてしまいます。

何が起こるかわからないからこそ、なんでも楽しい、もっと楽しいに変えられるのです。

さて、この絵本。

子どもはもちろん楽しいのですが、大人もとっても惹かれます。

この中に描かれているのはまさに理想の保育です。

のびのびとして、先生も子どもも思い切り楽しみ、日々を生きる。

そんな金太郎幼稚園を見ていると、先生も「こんな保育に近づけよう」と改めて元気を貰えます。

子どもにも先生にも元気をくれるのが金太郎幼稚園のすごいところなのです。

こんな幼稚園に行ってみたい!

そう心から思える、楽しさと優しさとたくましさに満ちた幼稚園の絵本です。

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