作:やぎたみこ 出版:岩崎書店
小人のように小さくなってみたい。
そんな願いを持ったことはありませんか?
その願い、不思議なモグラが叶えてくれます。
さあ、小人の世界に飛び込みましょう!
あらすじ
あるところに、お父さんとお母さん、男の子のがんちゃんとお姉ちゃんの4人家族が住んでいました。
ある夏の朝。
お父さんとがんちゃんが、庭に池を作っていました。
すると突然、大きなモグラが土から顔を出しました。
しかも、人間の言葉をしゃべるのです。
聞くと、名前はもぐてん。
不思議なモグラで、小さくなったり、大きくなったり出来るのです。
しかも、がんちゃんたちのことも大きくしたり、小さくしたり出来るというのです。
そこで今日は小人のように小さくなって遊ぶことになりました。
みんなで支度をすると、いざ小人に。
準備体操をしているうちに、みんな小さくなっていきました。
まずは庭と池の探検です。
作った池で水遊びもしました。
お昼ごはんもとても大きく、おにぎりやサンドイッチは抱えるほどの大きさです。
もぐてんさんが口笛を吹くと、色々な生き物が遊びに来ました。
ところが、大きな猫も飛び掛かってきたから大変です。
もぐてんさんに助けを求めますがもう手遅れ。
一体どうなってしまうのでしょう。
『もぐてんさん』の素敵なところ
- モフモフで不思議過ぎるもぐてんさん
- 「小さくなったらやってみたい」が詰まっている
- こっそり見せつけてくるお父さんとお母さんの仲良しっぷり
突如現れるもぐてんさん。
なんの前触れもなく急に現れます。
しかも、普通に言葉をしゃべり、不思議な魔法も使えます。
とっても気さくで、ユーモラスで、さり気ないサプライズも忘れないもぐてんさん。
ですが、すべては謎です。
特に語られることはありません。
子どもたちからも「もぐてんさんすごい・・・、でもなんで不思議な力が使えるんだろう・・・」と、謎が謎を呼んでいました。
だからこそ、魅力的なのかもしれません。
あと、モフモフ感ももぐてんさんの魅力の一つ。
毛並み感が本当のモグラのようで、思わず触って撫でまわしたくなるのです。
さて、そんなもぐてんさんの力で小人になったがんちゃんたち。
そこには「小さくなったらやってみたい」が詰まっています。
家や庭の探検、庭の小さな池で湖みたいに遊ぶ、大きなごちそうにかぶりつく、チョウやカエルなどの生き物と遊ぶ、花を帽子にする・・・。
などなど、やってみたいと思うことを、片っ端からやってくれます。
もうワクワクしないわけがありません。
ページをめくるたび「いいな~」「これやってみたい!」の声。
「俺だったら・・・」という、妄想も膨らみます。
さらに、最後にはお父さんからのサプライズまで。
小人になったことで、まさに全身で夏を感じる一日となっています。
また、こっそり素敵なのが、お父さんとお母さんの仲良しっぷりです。
さり気なく、お父さんがお母さんに花の帽子をプレゼントしていたり、池のボートでは蓮の葉で相合傘をしていたり・・・。
と、子どもたちが遊んでいる横で、二人の世界を満喫しているのです。
素敵な家族なのがそんなところからも伝わってきます。
それを見つけた女の子が「お父さんとお母さん仲良しだね~」とちょっと恥ずかしそうな笑顔で言っていたのも印象的でした。
不思議なモグラと出会ったことで始まる不思議な一日。
きっと「小さくなってみたい」という願いが叶う一冊になっていると思います。
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