もぐてんさん(3歳~)

絵本

作:やぎたみこ 出版:岩崎書店

小人のように小さくなってみたい。

そんな願いを持ったことはありませんか?

その願い、不思議なモグラが叶えてくれます。

さあ、小人の世界に飛び込みましょう!

あらすじ

あるところに、お父さんとお母さん、男の子のがんちゃんとお姉ちゃんの4人家族が住んでいました。

ある夏の朝。

お父さんとがんちゃんが、庭に池を作っていました。

すると突然、大きなモグラが土から顔を出しました。

しかも、人間の言葉をしゃべるのです。

聞くと、名前はもぐてん。

不思議なモグラで、小さくなったり、大きくなったり出来るのです。

しかも、がんちゃんたちのことも大きくしたり、小さくしたり出来るというのです。

そこで今日は小人のように小さくなって遊ぶことになりました。

みんなで支度をすると、いざ小人に。

準備体操をしているうちに、みんな小さくなっていきました。

まずは庭と池の探検です。

作った池で水遊びもしました。

お昼ごはんもとても大きく、おにぎりやサンドイッチは抱えるほどの大きさです。

もぐてんさんが口笛を吹くと、色々な生き物が遊びに来ました。

ところが、大きな猫も飛び掛かってきたから大変です。

もぐてんさんに助けを求めますがもう手遅れ。

一体どうなってしまうのでしょう。

『もぐてんさん』の素敵なところ

  • モフモフで不思議過ぎるもぐてんさん
  • 「小さくなったらやってみたい」が詰まっている
  • こっそり見せつけてくるお父さんとお母さんの仲良しっぷり

突如現れるもぐてんさん。

なんの前触れもなく急に現れます。

しかも、普通に言葉をしゃべり、不思議な魔法も使えます。

とっても気さくで、ユーモラスで、さり気ないサプライズも忘れないもぐてんさん。

ですが、すべては謎です。

特に語られることはありません。

子どもたちからも「もぐてんさんすごい・・・、でもなんで不思議な力が使えるんだろう・・・」と、謎が謎を呼んでいました。

だからこそ、魅力的なのかもしれません。

あと、モフモフ感ももぐてんさんの魅力の一つ。

毛並み感が本当のモグラのようで、思わず触って撫でまわしたくなるのです。

さて、そんなもぐてんさんの力で小人になったがんちゃんたち。

そこには「小さくなったらやってみたい」が詰まっています。

家や庭の探検、庭の小さな池で湖みたいに遊ぶ、大きなごちそうにかぶりつく、チョウやカエルなどの生き物と遊ぶ、花を帽子にする・・・。

などなど、やってみたいと思うことを、片っ端からやってくれます。

もうワクワクしないわけがありません。

ページをめくるたび「いいな~」「これやってみたい!」の声。

「俺だったら・・・」という、妄想も膨らみます。

さらに、最後にはお父さんからのサプライズまで。

小人になったことで、まさに全身で夏を感じる一日となっています。

また、こっそり素敵なのが、お父さんとお母さんの仲良しっぷりです。

さり気なく、お父さんがお母さんに花の帽子をプレゼントしていたり、池のボートでは蓮の葉で相合傘をしていたり・・・。

と、子どもたちが遊んでいる横で、二人の世界を満喫しているのです。

素敵な家族なのがそんなところからも伝わってきます。

それを見つけた女の子が「お父さんとお母さん仲良しだね~」とちょっと恥ずかしそうな笑顔で言っていたのも印象的でした。

不思議なモグラと出会ったことで始まる不思議な一日。

きっと「小さくなってみたい」という願いが叶う一冊になっていると思います。

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