文:立川治樹 絵:くすはら順子 出版:絵本塾出版
よく聞く言葉「猪突猛進」。
でも、どんな意味か知っていますか?
その意味をイノシシ自ら教えてくれる、ためになる絵本です。
あらすじ
出てきたのは一匹のイノシシ。
「猪突猛進」という言葉を知っているか聞いてきた。
「猪突猛進」は「イノシシはまっすぐしか走らない」という意味らしい。
でも、わかりづらいから、みんなにもわかるように最近の毎日を教えてくれるという。
まずは、月曜日。
目の前に畑があった。
みんなは曲がると思うけど、イノシシは真っ直ぐしか走れないから、そのまま踏んづけていった。
火曜日。
森の中を走っていた。
木がいっぱいあるけど、よけずにぶつかりながらまっすぐ走る。
そのせいでケガもいっぱいするけど・・・。
水曜日。
走っていたら、前に人間の家が出てきた。
中でおっちゃんとおばちゃんがご飯を食べていたけれど、ちゃぶ台の上を走り抜けていった。
木曜日、金曜日・・・と、曲がらない日々は続いていく。
『ちょとつ』の素敵なところ
- とってもわかりやすい猪突猛進っぷり
- 関西弁の勢いある語り口と疾走感
- 猪突猛進を活かしきったオチ
この絵本のイノシシはまさに猪突猛進。
見ているだけで、映像とともに猪突猛進の意味が頭に入ってきます。
迷惑も、ケガも恐れずにただまっすぐ走るイノシシ。
その走りっぷりは気持ちよく、迫力満点です。
最初は「畑を踏んづけちゃダメだよ・・・」と言っていた子も、「イノシシだからしょうがないよね!」と、すっかり猪突猛進が染み込んでいました。
この走りっぷりと合わせて、この絵本に疾走感と迫力を与えているのが、イノシシの関西弁です。
どんどん走りながら、しゃべりまくるイノシシは、まさに大阪の漫才を見ているよう。
うまく「普通曲がるやろ?」という振りを入れつつの、「真っ直ぐしか走らへんねーん!」はまさに王道の漫才さながら。
子どもたちも純粋に「えー!?」と、驚くしかありません。
中には「曲がらんのかーい!」とツッコミを入れる強者もいて、思わず笑ってしまいました。
この疾走感ある語りと、迫力満点のイノシシの姿が猪突猛進を体現しているのです。
さて、そんなイノシシですが、最後には確信犯過ぎるオチが待っています。
これには先ほどツッコミを入れていた子も困惑。
「・・・え?」と、固まります。
そして、少ししてから笑いが。
どうやら予想外過ぎて理解に時間がかかったようでした。
「猪突猛進」という言葉が物凄くわかる。
さらにフリとオチのつけ方まで学べる、とてもためになる一冊です。
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