ちょとつ(4歳~)

絵本

文:立川治樹 絵:くすはら順子 出版:絵本塾出版

よく聞く言葉「猪突猛進」。

でも、どんな意味か知っていますか?

その意味をイノシシ自ら教えてくれる、ためになる絵本です。

あらすじ

出てきたのは一匹のイノシシ。

「猪突猛進」という言葉を知っているか聞いてきた。

「猪突猛進」は「イノシシはまっすぐしか走らない」という意味らしい。

でも、わかりづらいから、みんなにもわかるように最近の毎日を教えてくれるという。

まずは、月曜日。

目の前に畑があった。

みんなは曲がると思うけど、イノシシは真っ直ぐしか走れないから、そのまま踏んづけていった。

火曜日。

森の中を走っていた。

木がいっぱいあるけど、よけずにぶつかりながらまっすぐ走る。

そのせいでケガもいっぱいするけど・・・。

水曜日。

走っていたら、前に人間の家が出てきた。

中でおっちゃんとおばちゃんがご飯を食べていたけれど、ちゃぶ台の上を走り抜けていった。

木曜日、金曜日・・・と、曲がらない日々は続いていく。

『ちょとつ』の素敵なところ

  • とってもわかりやすい猪突猛進っぷり
  • 関西弁の勢いある語り口と疾走感
  • 猪突猛進を活かしきったオチ

この絵本のイノシシはまさに猪突猛進。

見ているだけで、映像とともに猪突猛進の意味が頭に入ってきます。

迷惑も、ケガも恐れずにただまっすぐ走るイノシシ。

その走りっぷりは気持ちよく、迫力満点です。

最初は「畑を踏んづけちゃダメだよ・・・」と言っていた子も、「イノシシだからしょうがないよね!」と、すっかり猪突猛進が染み込んでいました。

この走りっぷりと合わせて、この絵本に疾走感と迫力を与えているのが、イノシシの関西弁です。

どんどん走りながら、しゃべりまくるイノシシは、まさに大阪の漫才を見ているよう。

うまく「普通曲がるやろ?」という振りを入れつつの、「真っ直ぐしか走らへんねーん!」はまさに王道の漫才さながら。

子どもたちも純粋に「えー!?」と、驚くしかありません。

中には「曲がらんのかーい!」とツッコミを入れる強者もいて、思わず笑ってしまいました。

この疾走感ある語りと、迫力満点のイノシシの姿が猪突猛進を体現しているのです。

さて、そんなイノシシですが、最後には確信犯過ぎるオチが待っています。

これには先ほどツッコミを入れていた子も困惑。

「・・・え?」と、固まります。

そして、少ししてから笑いが。

どうやら予想外過ぎて理解に時間がかかったようでした。

「猪突猛進」という言葉が物凄くわかる。

さらにフリとオチのつけ方まで学べる、とてもためになる一冊です。

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