星のふる夜に(4歳~)

絵本

作:千住博 出版:冨山房

ある夜、流れ星を見つけた一頭の小鹿。

流れ星を追いかけ、一夜だけの幻想的な旅。

それは、字のない、自分だけの想像の物語です。

あらすじ

深い森の中に、親子のシカが住んでいました。

ある晩、小ジカが流れ星を追いかけて、見知らぬ世界に迷い込みます・・・。

小ジカは流れ星を追いかけ、寝ている両親の元を離れ歩いていきます。

星野うつる川、ネオンの輝く街、木々の茂る森の中など、様々な場所を訪れる小ジカ。

流れ星に追いつくことは出来るのでしょうか。

『星のふる夜に』の素敵なところ

  • 字がないことで自由に想像できる物語
  • 地図と見比べて場所を想像する面白さ
  • 本当に星空の下にいるような美しく幻想的な絵

この絵本には字がほとんどありません。

あるのは、導入部分の「小ジカが流れ星を追いかけていく」という大きな方向性だけです。

その後は、周りの様子や、宵闇の中にある小ジカのシルエットを頼りに、自分だけの物語を想像し作り上げるしかありません。

「流れ星消えちゃったね」

「どこまで行くんだろう」

「シカさんちょっと疲れてるみたい」

「きれ~いって思ってるんじゃない」

などなど、たくさんの想像と、物語が作り出されていくのです。

また、この絵本の面白いところが、ページの左下に小さな地図があることです。

小ジカが歩いていくたびに、その道程が赤い線で描かれていきます。

これにより、どこを歩いてきたかと、今いる位置がわかるのです。

この地図と現在地を照らし合わせるのがまた面白いのです。

「この川はこれじゃない?」

「この木って、これだよ!」

「先に街があるよ」

など、目印を見ながら、対応する場所を探します。

これにより、その場その場の冒険だけでなく、旅の全体像やどれだけ歩いたのかなども想像出来るのです。

そして、なにより魅力的な部分が、その絵です。

大判のページいっぱいに描かれる幻想的な絵。

そこには満点の星空と、星のうつり込む川、暗い夜の木々などが描かれます。

その星空の美しいこと。

「星空に吸い込まれそう」と言いますが、まさにその通りで、ページの中に吸い込まれそうなほど。

釘付けになってしまうのです。

ページをめくるごとに現れる新しいロケーションは、それぞれ特徴的で、様々な美しさを感じさせてくれます。

字がないことで、より絵やその中の動きに集中できる。

自分だけの物語を想像していける幻想的で美しい絵本です。

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