あしにょきにょきにょき(3歳~)

絵本

作:深見春夫 出版:岩崎書店

豆を食べたおじさんの、足が急ににょきにょきにょき。

伸びていった足は野を越え山を越え、どんどん進む。

一体どこまで行ってしまうのでしょう。

あらすじ

ある日空から、ポコおじさんの家の庭に、大きな豆が落ちてきました。

いい匂いがするその豆を、ポコおじさんは食べてみました。

すると、左足が大きくなってにょきにょきと伸び始めたのです。

足はどんどん伸びていき、家の外へ出ていきました。

森を抜け、線路の高架下を通り、ついに街の中まで。

ポコおじさんの足は、車や建物を上手くよけながら進んでいきます。

その時、向こうから別の足がやってきました。

別の足は車をひっくり返し、建物を壊しながら進んでいました。

両方の足がぶつかると、おしくらやつねり合いが始まりました。

そして、ポコおじさんの足が別の足をくすぐると、別の足はみるみる縮んでいったのです。

街の人は大喜び。

市長さんに表彰もされました。

さらに街の人を足に乗せてもらえないかと頼まれたので、街の人を乗せながらにょきにょきと進むことになりました。

ポコおじさんの足はいつになったら戻るのでしょうか・・・。

『あしにょきにょきにょき』の素敵なところ

  • ただ足が伸びるという面白さ
  • 盛り上がる足対決
  • かわいくて平和な足の戻し方

この絵本は、「おじさんが豆を食べたら、なぜか左足が伸び続ける」という、ただそれだけのお話です。

でも、それがまあ面白いこと。

「えー!?」

「どこまで伸びるのー!?」

と、細かいことは気にせずに、足の行方が気になってしまいます。

どんどん伸びていき、街を一周するほどの長さになっていく。

もう、それだけで楽しすぎるのです。

そんな伸びた足の見せ場が、足対決です。

向うからのびてくる怪獣みたいな足との対決。

やっていることは足相撲みたいなのに、なぜかシュールにならず迫力があり、怪獣映画のような雰囲気があります。

スケール感のせいしょうか。

ポコおじさんの足のピンチや逆転もしっかり用意されており、ヒーローもののコツをしっかり掴んでいます。

応援する子にも自然と力が入ります。

さて、ポコおじさんの足も別の足も、戻し方は一緒でした。

それは足をくすぐること。

なぜなのかはわかりません。

しかし、理由などいりません。

そういうことも自然と受け入れられる、なにが起こっても大丈夫感がこの絵本にはあるのです。

不思議なことばかり起こるこの絵本。

その不思議さをただ純粋に楽しめるのが、一番素敵なところなのだと思います。

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