文:高山なおみ 写真:長野陽一 出版:ブロンズ新社
よく口にする味噌汁。
でも、どうやって作っているのでしょう?
写真とわかりやすい文章で、小さい子にも楽しく作り方がわかる絵本です。
あらすじ
まずはお椀に水を入れ、それをお鍋の中に入れます。
そこに昆布を一個、煮干しを五匹入れ、30分待ちましょう。
30分経ったら、鍋を弱火にかけます。
味見をして、昆布と煮干しを鍋から出します。
油揚げを切って鍋に入れ、豆腐をスプーンですくって鍋に入れ、温まったら火を止める。
お味噌を溶かして出来ました。
『みそしるをつくる』の素敵なところ
- 写真でわかりやすく味噌汁の作り方がわかる
- 文章とイラストの工夫で、楽しく味噌汁の作り方がわかる
- 分量がとても直感的
この絵本は全ての作り方の工程が、写真で載っています。
なので見ていると、目の前で本当に味噌汁を作っているようなのです。
どんなことをしているのか、どんな風にしているのかも見ただけでわかります。
また、家ではあまり見ないだしの取り方も見ることが出来るので、昆布だしなどがどんなものかを知る機会にもなってくれます。
そしてなにより、美味しそうなのです。
写真だけでもとてもわかりやすいのですが、それに楽しいを加えているのが、この絵本の素敵なところ。
文章やイラストに遊び心が満載で、小さな子も楽しみながら読めるようになっています。
例えば、煮干しを入れるところでは、「煮干しを5匹泳がせる」。
弱火にかけるところでは「火をつける、ちいちゃくちいちゃく、くつくつくつ」
油揚げを切るところでは「油揚げ、すとんとんとん、すとんとん」
など、リズム感がよかったり、イメージしやすい言葉が使われています。
これと写真のカット割りの組み合わせが秀逸で、煮干しの所では鍋に煮干しが浮いて泳いでいるような写真、油揚げではどんどん切っていく写真がたくさんなど、わかりやすさと遊び心が綺麗に融合しているのです。
また、所々に挟まれているイラストも、可愛く箸休めになっています。
煮干しから足が生えていたり、昆布に顔がついていたり。
そんなイラストがさり気なく紛れ込んでいます。
さて、それらに加えて、この絵本のとてもすごいと思う所があります。
それが分量感です。
この絵本では小さじや、カップなどの分量が一つも使われません。
水の量はお茶碗1杯。
昆布は一枚、煮干しは5匹。
味噌の量はお茶碗一杯につき、梅干し1個。
というように、一人分計算で、どれくらい必要かが直感的にわかるようになっているのです。
これなら小さい子も迷うことがありません。
自分のお茶碗一杯分の水と、梅干し一個分の味噌を入れればいいのですから。
そして、他の分も足すのなら、その人のお茶碗を足すだけでいいのです。
これにより、子ども一人でも、絵本を見ながら最後まで作ることが出来るのです。
もちろん、火を使うので大人が一緒にやる必要はありますが。
美味しそうな写真と楽しくわかりやすい文章で、小さな子どもでも直感的に作り方がわかる。
自分で味噌汁を作ってみたくなる絵本です。
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