11歳からの正しく怖がるインターネット

書籍

著:小木曽健 出版:晶文社

「ネットの世界は怖い」「スマホの使い過ぎはよくない」

よく聞く言葉ですが、そこには先入観がたっぷり含まれていることも少なくありません。

そんな先入観を紐解いて、正しく怖がり、正しく使えるようになりましょう。

ネットもスマホもただの道具なのですから。

本書からの学び

本書ではインターネットに関わるたくさんの学びに溢れています。

しかも、「11歳からの」でわかるように、子どもでもわかりやすく読みやすい作りになっています。

ということは、子どもからインターネットに疎い世代まで、幅広い層が手に取りやすい作りになっているということでもあるのです。

でも、その内容は普段からインターネットに触れている人にも、非常に納得感のあるものでした。

特に「なんとなくモヤモヤ」している部分を解決していってくれる感覚は、この著者にしか出来ないものでしょう。

本書がおすすめな人はずばり!

全ての人!!

インターネットへの入門書だと思わずに、一度全ての人に目を通してみて欲しいと思います。

きっと、インターネットへの先入観に気付かされることでしょう。

さて、この記事ではそんな本書の中で、特に心に残った学びを3つ紹介しようと思います。

それは、

  • ネットは玄関ドア
  • 「ネットだから」の罠
  • 本当にスマホのせい?

の3つです。

ここからは一つずつ見ていきましょう。

ネットは玄関ドア

では、まずインターネットがどんなものなのかを考えていきましょう。

著者はこれを家の玄関ドアに例えます。

インターネットって、匿名性が高いように思われていますが、実はそうでもなく結構簡単にバレます

警察が本気を出せば、サーバー情報の照会が行われますし、炎上すれば特定班により特定され引っ越しを余儀なくされるなんてことも普通に起こります。

じゃあ、どうすればよいか?

簡単なことで、バレても大丈夫なことだけを載せればよいのです。

でも、バレても大丈夫な線引きってどこだろう。

それが「ネットは玄関ドア」と考えてみる理由になります。

自分の個人情報を家の玄関ドアに張り出してみましょう。

そりゃ、詐欺や事件に巻き込まれる確率が格段に上がりますよね。

罵詈雑言ならどうでしょう?

そんな家にはお近づきになりたくないと思われても仕方ありません。

著者は言います。

ネットに載せられる情報の限界は、玄関ドアに貼っても平気なものまで」だと。

これは本当にわかりやすい例えだと思います。

ネットに何かを載せる時、「これは玄関ドアに貼れる情報なのか?」を一度チェックしてみてくださいね。

「ネットだから」の罠

次に、ネットが悪者にされがちな問題についてです。

ぼくたちは、ネットで起こったことは、現実とは切り離しがちです。

「ネットが普及したからこんなことが起こるようになった」

「ネットならではの・・・」

とよく言われます。

でも、本当にそうなのでしょうか?

例えば「ネットいじめ」。

もちろんインターネットの普及で、いじめが巧妙化したり、家の中まで入りこんでくるようになったという事実はあります。

しかし、「ネットいじめを起こさないためにネットリテラシー教育を」などと言われるのは違います。

なぜなら、「ネットいじめ」で解決しないといけないことは「ネットの使い方」ではなく「いじめ」のほうだからです。

こんな風に「ネット」とついただけで、本質が見えなくなり、現実と切り離されてしまうことが多いと著者は言います。

「ネットはトラブルが多いから免許制にしたらどうか?」

こんな議論もされたりします。

しかし、現実を見れば「少しのハンドル操作で人を殺してもおかしくない自転車」は免許がなくても大丈夫なのでしょうか。

ネットもスマホも道具です。

それがなぜそんな使われ方をしたのか?

その背景を考え、対応することこそが大切なのです。

本当にスマホのせい?

道具ということで、ネットと同じくらい引き合いに出されるのがスマホです。

「歩きスマホ」「ながらスマホ」「スマホ依存」・・・。

スマホのつく言葉はたくさんありますよね。

でも、それって本当にスマホのせいなのでしょうか?

スマホがなければ起こらなかった現象なのでしょうか?

例えば「歩きスマホ」。

スマホがなかった時、漫画を読みながら歩く高校生や、駅のホームで新聞片手に電車に乗り込む会社員などを見た記憶はありませんか?

そう、これはスマホ独特のものではなく、スマホがなくてもしていたことなんです。

これが今は新聞もゲームも漫画もスマホに入っているから、スマホに一元化されただけのこと。

もちろん、だからやってもいいわけではありません。

ただ、スマホをなくしたところで、これらの問題は解決しないということです。

また、スマホの使い過ぎ問題も、同じような課題を含んでいます。

よく「今の高校生は一日スマホ使用時間が7時間を超えた」などの記事を目にします。

でも、大切なのはその内訳だと言います。

なぜなら、昔は別々の機器で行っていたものが、スマホに一元化されているから。

ウォークマンで聞いていた音楽、紙で読んでいた本、携帯ゲーム機で遊んでいたゲーム・・・。

それだけではなく、新聞や勉強用のアプリだってあります。

「7時間ゲームに使っている子」と「通学の時に音楽を聴き、アプリを有効に使って勉強、息抜きにスマホゲームをして合計7時間の子」では、「スマホに7時間」の意味合いが大きく違ってくるのです。

スマホを悪者にするのではなく、それがどんな使われ方をしているかに焦点を当てて考える必要があるのではないでしょうか?

まとめ

本書にはこのほかにも「炎上について」や、子どもとのスマホルール」など、インターネットにまつわることがたくさん具体的に描かれています。

インターネットの光の面についても、しっかりと描かれています。

その中で、本書を通して一貫して言われていることは、

インターネットは現実の世界と繋がった世界

インターネットはただの道具

この二つです。

本書を読んで、インターネットの本質を理解し、正しく使い、正しく怖がりましょう。

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