作・絵:スティーブ・アントニー 訳:平田明子 出版:すずき出版
イヤイヤ期真っ只中の子は大変。
何かあればすぐにイヤイヤ大泣きです。
このベティもイヤイヤ真っ盛りのゴリラちゃん。
その姿にあるあるとため息をつきつつも、かわいくて癒されてしまいます。
あらすじ
女の子ゴリラのベティはバナナを見つけました。
でもバナナの皮がむけない。
頑張るけどむけない・・・。
そして突然大声で泣きました。
そしてやっと泣き止んだ。
そこに鳥のオオハシくんが飛んできてバナナの向き方を教えながらむいてくれた。
でも、ベティはバナナの皮を自分で向きたかった。
バナナを見つめた後、突然前よりも大きな声で泣いた。
そしてやっと泣き止んだ。
ベティのやだやだは後どれだけ続くのでしょうか。
『やだやだベティ』の素敵なところ
- ベティの仕草がイヤイヤ期あるある過ぎる
- イヤイヤ現在進行形の子にも、その兄弟にも、昔そうだった子にも
- ページを上手に使った繰り返しの面白さ
泣く前の真剣に色々試すところ、顔を手で覆ったり、寝転んでみたりと泣き方のバリエーション、泣き止んだ後のケロっとした表情、皮をむかれたときのバナナを見て、オオハシ君を見て、もう一回バナナを見てから泣くなど、イヤイヤ期を見たことがある人なら「やるやる」と思う仕草ばかりです。
見ているだけでニヤニヤ。
そのため、見ている子によって反応が違います。
現在進行形の子に「この前これやってたね」と言ってみると、照れたり、バツが悪そうにしたり、ごまかしたり。
そんな弟や妹がいる子は「これやってるよ」「大変なんだよ」と口を尖らせます。
昔やっていた子には、赤ちゃんの頃を振り返る機会になり照れ臭そう。
それぞれの反応が面白いです。
また、物語の構成も面白く出来ています。
1ページ目で困り、2ページ目で向き合い、3ページ目の見開きで泣く、4ページ目で泣き止むという流れの繰り返し。
なので、段々ベティの様子を見て「あ!また泣いちゃう」「やっぱり~」と自然に温かな笑いが起こります。
大きい子に読むと、まるで自分の妹を見守るような反応も。
読み終わったころにはすっかりベティがかわいくなっている不思議な絵本です。
『やだやだベティ』のおすすめの読み方
- 場面ごとにメリハリをつけて読む
- 泣く時は全力で
- 子どもの声に耳を傾ける
この絵本で特に大事なのが「すると突然・・・」→泣く→「そしてやっと泣き止んだ」の繰り返しです。
「すると突然・・・」まで普通な感じで読んでいき、少し間を置いてページをめくったら大声で泣きます。
全力で泣きます。
ひとしきり泣き終わったら、「そしてやっと・・・」で少し間を置きページをめくって、ケロっとした感じで「泣き止んだ」に繋げましょう。
そしてまた普通な感じで読んでいきます。
これをしっかりやると子どもも繰り返しの面白さで「また~」と笑ってしまいます。
読んでいる中で「これ昔やってたよ」などの声が聞こえると思います。
場面の転換が途切れないタイミングで反応を返していきましょう。
きっとベティとの距離がより近くなると思います。
繰り返しの面白さと、リアルな仕草が癖になるこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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