文:木坂涼 絵:のだよしこ 出版:福音館書店
ものを叩くと音が出る。
それぞれ全然違う音。
色んなもので、色んなものを叩いてみよう!
あらすじ
スプーンで食器を叩いてみる。
お茶碗、お椀、お皿にコップ。
カン、トン、コッ、キン
しゃもじで鍋を叩いてみる。
やかん、フライパンに深底鍋。
コン、トオン、トコン
鍋のふたとふたをぶつけると、ガシャシャーン!
次はペットボトル。
今度はどんな音がするのでしょう。
『とんとんとんおとがしますか』の素敵なところ
- 探求心をくすぐられ、色んな音を試したくなる
- 色と形と文字で表現される音
- お母さんの反応が現実的
スプーンにしゃもじ、ペットボトルや布団叩き。
色々な道具を使い、色々なところを叩きます。
叩くたびに違う音。
知っている音には、
「こんな音するよね~」
「床を叩くとドンって音になるよ」
と、納得したり、経験を話したりしてくれます。
知らない音には、
「こんな音するんだ!」
「あれを叩いたらどんな音になるんだろう」
と、発見したり、探求心をくすぐられたりしています。
そして、それが遊びに繋がって、新たな音や、叩いた時の感触の発見に繋がっていました。
絵本の中にも繋げる工夫がされているのも素敵なところ。
最後に男の子が枝を持って外に出かけて終わるのです。
これを見たら、自分も枝を持って色々叩かずにはいられません。
そんな色々な音ですが、この絵本では色々な方法で表現されています。
文字で「コン、キン」などと書かれているだけでなく、
丸みがあったり、角ばっていたり、ギザギザしていたりとその形で、
また、その形の色で、音の感じや感触が視覚的に感じられるようにも表現されているのです。
読んだ時の音、見た時の雰囲気、この両方が組み合わさって、とてもリアルな音。
だからこそ、記憶が呼び起こされたり、「やってみたい」と好奇心が刺激されるのでしょう。
でも、この絵本でやっていることは、大人にあまり良い顔をされないのも事実。
男の子を見ているお母さんの表情のリアルさも、この絵本の妙にお気に入りなポイントです。
ガシャシャーンと鳴らした時は、うるさい顔をしていたり、
ストローをブクブクする時は腰に手を当て怒っていたり、
布団を布団叩きで叩いている時は笑っていたり・・・。
「それやったら、こんな顔するだろうな・・・」が、そのまま描かれているのです。
子どもたちも、
「お母さん怒ってるよ」
「うちのお母さんもこんな顔する」
「お手伝いしてるから喜んでる」
など、自分のお母さんに重ね合わせつつ見ているようでした。
とってもリアルな音とお母さんの反応で描かれる。
「楽しそう!」「やってみたい!」が目一杯詰まった、好奇心をくすぐられる絵本です。
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