文:内田麟太郎 絵:北村裕花 出版:文研出版
突如現れたとてつもなく大きな卵。
動物たちがなんの卵か予想します。
その時、卵が割れて・・・。
あらすじ
ゴリラが藪から顔を突き出すと、目の前にはとてつもなく大きな卵がありました。
ゴリラが驚いていると、ワニがやってきてなんの卵か聞きました。
ゴリラが「ワニさんの卵じゃないのか?」と聞くと、ワニは自信たっぷりに「ダチョウの卵だ」と答えました。
そこへダチョウが現れて「違うわよ!ゾウさんの卵」だとどなります。
すると、ゾウが現れて「卵なんか産みません」と言いました。
森一番の物知りなゾウは「これは恐竜の卵」だと言うのです。
みんな恐竜が生まれるのを想像し、怖くなって逃げようとしました。
その時です。
卵にひびが入り、中から出てきたものは・・・。
『たまたまたまご』の素敵なところ
- なんの卵か想像する楽しさ
- 動物たちのドタバタとしたノリ
- 「まさか!」な卵の中身
この絵本の醍醐味は、動物たちと卵の中身を想像する楽しさにあると思います。
ワニの卵、ダチョウの卵、ゾウの卵、恐竜の卵と、動物たちが予想するのと一緒に予想する子どもたち。
「ワニの卵はこんなに大きくないよ」
「恐竜の卵だよ」
「ゾウは卵産まないよ」
「もしかしたら宇宙人の卵かも!」
と、色々な予想や根拠、想像が広がります。
これはきっと、卵がとてつもない大きさだからこそ、想像力もとてるもなく広がっていくのでしょう。
さらにこの楽しさを動物たちが盛り上げてくれます。
とにかく反応とノリがいいのです。
卵を発見したゴリラは「でたーぁ」と両手をあげてびっくり仰天。
ワニがダチョウだと言えば、「大きな鳥だもんね」と納得。
ダチョウがゾウの卵だと言えば、「ゾウさんが森で一番大きいお方だ」と納得。
恐竜の卵だと言われれば、みんな怖くて震えだす。
何を言っても、気持ちのよい反応とノリで受け入れてくれます。
これがとても楽しく自由な空気感を作ってくれ、どんな予想や考えを言ってもいい雰囲気の中想像力が膨らむのです。
さて、割れた卵から出てきたものはまさかなもの。
思わず「それは反則だよ~」と思ってしまいます。
でも、それで終わらないのがこの絵本。
さらにもう一つオチが用意されていて、「どうしてこれが生まれたのか」と考察が進みます。
最後の最後の一ページまで、想像力を刺激されてしまうのです。
動物たちの楽しいノリの中、予想していく卵の中身。
見るのも考えるのも楽しくてたまらない自由な絵本です。
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