絵と文:伊藤文人 出版:みらいパブリッシング
不思議で面白い逆さ絵の世界。
絵本をくるっと逆さにすると、全然違う話と絵に大変身。
さあ、この不思議な世界に足を踏み入れていきましょう。
あらすじ
島に住んでるおじさんは、毎日小船で魚釣り。
連れたら食べる?カモメくん。
本を反対にすると・・・
ウサギとキャンプ、川の側。
突然風が吹いてきて、テントは壊れシャツ流れ。
という絵とお話に変わります。
どんより曇った天気でも、ゾウの親子は川の中。
ながーいお鼻で水遊び。
本をひっくり返すと・・・
風邪を引いたかラクダの夫婦。
鼻水出してブルブルと、砂漠で震えてかわいそう。
という話と絵に早変わり。
この後も、たくさんの逆さ絵でのお話が盛りだくさんです。
『まじさかさじま』の素敵なところ
- 初めてこの絵本を見た時の「なんだこれ???」
- 不思議で面白い逆さ絵
- 過不足なく絵の変化を全て言い表してくれる文章
この絵本のまず面白いところが、未知との遭遇感です。
逆さ絵に触れたことがない子が、この絵本を見た時の反応が面白い。
その様子はまさに「なんだこれ???」
なんとなく違和感のある絵。
普通に書いてあるのと、反対向きに書いてある文字。
見ていると、なんとなく違う絵にも見えてくるような・・・。
といった具合に、まず戸惑いから入ります。
どうやって読めばいいんだろう?
この島、反対向きの鳥みたいだよ。
などなど、色々な感想が浮かびます。
そんな中、逆さ絵の性質や、逆さになっている文字の意味に気付いた時のスッキリ感は相当なもの。
「おぉぉぉ!」
「そういうことか!」
「俺は気付いてたけどね」
と、感動と感嘆の反応を惜しげもなく見せてくれます。
そして、自分でクルクルと絵本を回して見る面白さ。
「ウサギさんなのに・・・、犬になります!」
といったように、まるで自分が描いたかのように自慢げに見せてくれたりします。
すっかり逆さ絵の虜になってしまったみたい。
また、この逆さ絵に添えられている文章も、逆さ絵の面白さを引き立ててくれるものになっているのも素敵なところ。
短い文章で、絵の変わったところを全て言い表してくれています。
このおかげで、逆さ絵に慣れていない子でも、どんな絵に変わっているのかわかりやすく、徐々にその絵に見えてくるので、迷子になりにくいのです。
これが過不足なく描かれるので、テンポよく、逆さ絵を十分に楽しめるようになっています。
普段はあまり目にしない、不思議で面白い逆さ絵の世界。
わかりやすい絵と文章で、初めて逆さ絵に触れる子にも、その面白さが十二分に伝わる仕掛け絵本です。
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