たんじょうじどうしゃ(4歳~)

絵本

作:小風さち 絵:山本忠敬 出版:福音館書店

街中を走るかっこいい赤い自動車。

そんな自動車が出来るまでを、0から10までお見せします。

さあ、工場見学に出かけましょう。

あらすじ

朝、自動車工場のサイレンが鳴り、今日の仕事が始まります。

おじさんたちが配置に着くと、鉄のロールを載せた大型トラックが到着した。

その鉄のロールを切断し、プレス機に入れ型を作る。

屋根、ドア、床の形に。

それを溶接ロボットが、繋げて組み立てる。

ボディが出来た自動車は、ペンキを吹きつけられ、赤い車体になっていた。

ここでお昼休みの合図がなる。

みんな工場からいなくなり、続きは後で。

お昼休みが終わると、おじさんたちが帰ってきた。

ガラスをはめ、配線をつけていく。

エンジンを取り付け、変速機を接続。

メーターも全部あるし、ワイパーもついた。

でも、まだ走るための肝心なものがついていない。

赤い自動車の完成まであと少し・・・。

『たんじょうじどうしゃ』の素敵なところ

  • 自動車の製造ラインを全て見られる
  • 働く人の動きまでリアル
  • マニアックなことや、見逃されがちなところまできちんと描かれる

この絵本のすごいところは、製造ラインを一から十まで全て見られることです。

ドアをつける、タイヤをはめるという次元ではありません。

最初は鉄の塊から始まるのですから。

屋根、ドア、床と、車体のパーツが出来るところから、ライトの取り付けやエンジンの積み込みまで、全てが細部まで描かれます。

窓をはめるところなどは、「レゴブロックみたいだね」と意外な取り付け方に、素直感想が出ていました。

しかも、切断機で切り出される様子や、プレス機で型取りされる様子、それが電動ハンガーで運ばれ溶接されるところなど、工場でのリアルな作業工程が見られるのです。

さながら、工場見学のよう。

車そのものよりも、工場全体に目線を向けた絵本は少ないように思います。

さらにこの工場要素を強めているのが、働くおじさんたちの存在です。

車が誕生する一番最初の工程は、おじさんたちが配置について、機械の準備をすること。

工場が稼働し始めた後も、その動きはもの凄くリアルです。

部品の重そうな様子、メーターの指差し確認など、細かな動作もしっかり描かれます。

極めつけはお昼休み。

絵本だと忘れがちですが、作っているのは休息や食事が必要な生きた人間なのです。

これがこの工場をよりリアルで、生きたものとして感じさせてくれています。

ここまでこだわって描かれているこの絵本。

やっぱり、マニアックな部分もありますし、作っただけでも終わりません。

まず驚くのが変速機。

エンジンを取り付けた後は、変速機を取り付けます。

しかも、変速機の拡大図まで載せてくれるマニアックさ。

これには車に詳しい子も、興味津々な様子。

「そうそう、そうやって作るんだよね」と言っていた子も黙り込み、真剣に説明を聞いていました。

さらに作っただけでは終わりません。

出来た後には、機器のチェックが待っています。

ライト、ブレーキ、クラクション・・・。

そして、テスト走行。

地味で端折られがちだけれど、とても大事な工程です。

ここまできっちり描いているのが、工場や働く人への敬意を感じる、とても素敵なところだと思っています。

車が誕生するまでを、リアル過ぎる絵で0から10まですべて見せてくれる。

本当に工場見学をしているような絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました