文:内村麟太郎 絵:西村繫男 出版:くもん出版
トロッコ電車は誰でも乗れる電車です。
人も虫も、おばけでも。
お客さんとユーモアたっぷりの言葉遊びを乗せて、トロッコ電車が走ります。
あらすじ
とろとっと、とろとっと
トロッコ電車がやってきます。
最初の駅では人間の子どもが電車に乗り込んできました。
一緒に子ゾウ(小僧)も乗り込んできました。
次の駅では虫が電車に乗り込んできます。
泣き虫も、茶わん蒸しも乗り込んできます。
さらに進むと、オバケが電車に乗り込みました。
一緒にバケツも乗り込みました。
まだまだ、客車は空いています。
次に乗り込んでくるのは・・・。
『とろとっと』の素敵なところ
- ユーモアたっぷりの言葉遊び
- リズムよく走る電車と言葉
- どんどん賑やかになっていくトロッコ電車
この絵本には、とてもたくさんの言葉遊びが散りばめられています。
子どもと一緒に乗り込んでくる子ゾウ
森の仲間と一緒に乗り込んでくる大盛ご飯の「おおもり」さん
など、電車に乗り込む人はもちろんのこと。
電車を見送る人も、
カエルが「帰る電車であろうか」
カッコーが「かっこいいなあ」
というように、ダジャレを忘れず入れてきます。
こんな風に、どのページも言葉遊びに溢れていて、知的好奇心を刺激してくるのです。
しかも、少し知恵を絞らないとわからない面白さも多く、これがはまる人にはとにかくはまる。
虫と一緒に乗り込む泣き虫に「同じ虫だからね!」
かっこいいと言うカッコーを見て「カッコーだけにね!」
とツッコむ時の心底楽しそうな表情は、この絵本ならではだと思いました。
言葉遊びだけでなく、そのリズム感も素晴らしく気持ちいいのも素敵なところ。
「とろとっと とろとっと トロッコ電車がやってきます」
と走ってきて、駅に着くと、
「乗りますよ 乗りますよ。子どもも子ゾウも乗りますよ。」
とお客さんが乗ってきて、また走り出す。
この言葉の流れとリズムが、もの凄く気持ちよく、まるでスムーズに走っていく電車のようなのです。
さらに途中に緩急がつく場面もあり、そのリズムの変化も新鮮で楽しいのです。
そして、気持ちよいテンポと一緒に乗ってくるお客さん。
この、少しずつお客さんが増えて、電車が賑やかになっていくのはやはり純粋に楽しさを感じます。
最初は空っぽの客車に、一場面に着き一両、客車がお客さんで埋まっていきます。
「ここに虫さん乗ってる!」
「お客さん一杯だね!」
と子どもたちも、電車の変化を楽しんでいるようでした。
中には変わったお客さんもいたりして、「えー!?そこ!?」と驚かされることもあったりします。
少し高度な言葉遊びだけでなく、どんどんお客さんが増えていく単純な面白さも併せ持つ。
色んな楽しみ方が出来る楽しくて、テンポ感の気持ち良い電車絵本です。
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