クリップとみずのまほう(3歳~)

絵本

作:荒井洋行 出版:フレーベル館

水の魔法が使える男の子クリップ。

涙で階段を作ったり、その可能性は無限大。

読めば一緒に、魔法を使いたくなる絵本です。

あらすじ

丘の向こうの不思議な家に、4人の家族が住んでいました。

お父さんは発明家のノマ。

お母さんは魔法使いのホルケット。

お姉ちゃんのソケットに、弟のソケットです。

ある日、お母さんがソケットに、「オムレツを作るから卵を取ってきて欲しい」と言いました。

卵は湖に浮かぶ島の、卵の実る木にあるのだそう。

ですが、そこは竜が見張っていて、卵を取ってきたものは誰もいないと言うのです。

クリップは、ご褒美に新しい魔法を教えてもらえるというので、張り切って引き受けました。

イヌのピックルも一緒です。

湖にやってくると、なんと湖の水がなくなっていました。

島の周りを竜が飛んでいるのが見えます。

ひとまず島に近づき、クリップは竜に自己紹介しました。

すると、竜はモリ―だと名乗り、パパの代わりに卵を見張っているのだと言いました。

大切な卵だからあげられないとも。

さらに竜は「最近雨が降らないから、湖の水がなくなり、卵も実らなくなってしまった」と泣き出します。

クリップは困ってしまいましたが、水の魔法を試してみることにしました。

クリップが魔法を使うと、竜の涙が空へ舞い上がり、水の階段になったのです。

クリップたちは階段を上り、雲の上へと行きました。

雲の上には街がありましたが、なんだか静まり返っています。

街の中を歩いていくと、どこからか声が聞こえてきたので行ってみました。

そこでクリップたちが見たものとは・・・。

卵を無事持ち帰ることは出来るのでしょうか。

『クリップとみずのまほう』の素敵なところ

  • とても素敵なファンタジーの世界
  • まるで生き物のような水と仲良くなる魔法
  • 一緒に言いたくなる魔法の呪文

この絵本の世界観は、とても王道なファンタジー。

魔法が使えて、竜がいて、雲の上には街がある。

とっても王道だけれど、誰もが憧れる世界観だと思います。

その世界を、ソケットとピックルと一緒に冒険する。

それだけでワクワクしてしまうのです。

涙の階段を登ったり、竜の背中に乗ったりと、「こんなことしてみたいな」も詰まっています。

これは王道なファンタジーだからこその感覚だと思います。

そして、その世界で使われる魔法がまた素敵です。

それは「水を操る魔法」ではなく、「水と仲良くなる魔法」なのです。

水と仲良くなり、友だちのように協力してくれる魔法です。

これは絵本の中でも生き生きと表現されています。

竜の涙の一粒一粒が小さな人型になり、クリップのを下から持ち上げてくれたりします。

嬉しいことを祝福するように、一緒に喜んでくれたりもします。

このクリップと魔法と水の関係が、この絵本のとても素敵なところだと思います。

また、魔法を使う時の呪文も特徴的でリズミカル。

一緒に言いたくなる、楽しいものになっています。

小さな魔法は「シュー、テー、トン」。

強めに使うと「シュシュー、テー、トトン」。

もっと強くなると「プシュー、シュテー、トトトーン!」

と、場面に合わせて力も入ります。

見ている子も、合わせて力が入ります。

まるで、本当に魔法を使っているみたい。

成功すると、自分がやったかのような満足げな顔をしているのも、面白いところです。

ソケットが水と仲良くなる魔法を駆使して、ファンタジーな世界を冒険していく。

そんなソケットと一緒に、自分も魔法を使えるようになる絵本です。

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