作:高畠純 出版:絵本館
子どもと関わる、動物たちのお父さん。
思うようにいくことも、思うようにいかないことも。
なんだかとっても「お父さんらしい」4コマ絵本です。
あらすじ
ゴリラのお父さん。
ダンベルを「よいしょ!」と上げて筋トレ中。
そこに子どもがやってきた。
ダンベルの代わりに、子どもを「よいしょ!」
ペンギンのお父さん。
子どものために、雪だるまを作ります。
完成したので、子どもを呼ぶため目を話すと、雪だるまの頭がゴロン・・・。
子どもが来た時には横向きの雪だるまになっていました。「あれ?」
しろくまのお父さん。
奥さんと子どもを置いて出かけます。
出先で遊んでいるラッコの親子を発見。
家に帰るとラッコの真似して、子どもと遊ぶのでした。
ワニのお父さん。
二匹の子どもを連れたワニのお父さん。
通りすがりに、子どもをおんぶするコアラに会って、あいさつします。
さらに行くと、お腹の袋に子どもを入れるカンガルーにも会って、あいさつします。
それを見ていたワニの子どもたち。
お父さんのお腹と背中にくっつきました。
他にもたくさんのお父さんが出てきます。
『おとうさんのえほん』の素敵なところ
- 自分のお父さんと重なる動物のお父さん
- お父さんの気持ちを想像する面白さ
- 「お父さんらしいな」という感覚
この絵本では動物のお父さんが出てきますが、妙に自分のお父さんと重なる部分を感じます。
動物のお父さんは、動物らしい行動を取っているのですが、なぜか通じるものがあるのです。
それはきっと、お父さんの心なのでしょう。
子どもよりお母さんの話を聞いていなかったり、急に遊んでくれたり、やる気はあるけど失敗したり。
その中身が、自分のお父さんに通じるものがあるからなのだと思います。
そんなお父さんの行動は4コマで描かれます。
言葉での説明はありません。
4コマだからこその、間や流れで表現されています。
だからこそ、お父さんの気持ちや、本当はやりたかったことが想像出来て面白いのです。
雪だるまが完成して、ワクワクしながら子どもを呼ぶペンギンのお父さん。
子どもをびっくりさせようと、物陰に隠れるヒツジのお父さん。
しかし、上手くいかない現実。
それに直面した時の、お父さんたちの反応。
「せっかく雪だるま作ったのにね・・・」
「子どもが行っちゃってさみしそうだね・・・」
と、お父さんの気持ちを察する子どもたち。
この行間を想像する面白さは、4コマならではだと思います。
さて、そんなお父さんの絵本ですが、なにがお父さんらしいのかを言葉にするのは難しいです。
でも、確実に「お父さんらしさ」に溢れています。
一生懸命だけど、ちょっと抜けている。
子どもより子どもみたいな姿。
威厳を出しつつも、器が小さいところもある。
気まぐれだけど、やっぱり子どもを愛している。
そんなお父さんの行動が集まって、この絵本に「お父さんらしさ」を生み出しているのかもしれません。
動物のお父さんたちの、一生懸命な子どもに向きあう姿を4コマで描く。
何がとは言えないけれど、もの凄く「お父さんらしい」お父さんの絵本です。
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