作・絵:ライマー 訳:中由美子 出版:岩崎書店
ある日、山の中でオバケの目撃情報が!
麓の村では大騒ぎです。
事故もたくさん起こるように。
山には、どんな恐ろしいオバケが住み着いているのでしょう・・・。
あらすじ
ある日、白ブタのルルが、山から転がり落ちてきた。
そして、「オバケ・・・」と、一言いうと気を失ってしまった。
ルルはだいぶ経ってから、病院で目を覚ました。
やってきた村長さんが何があったのかを聞くと、ルルは話し始めた。
夜の山で道に迷っていたら、明かりが見えたので近づいた。
すると、人間10人分くらいの大きさで、真っ黒でトゲだらけ、緑の目をして鋭い爪を振り回すオバケに、追いかけられたのだと。
それを聞いて、ビーだま村の人たちは、オバケが降りてきた時のため、準備をした。
でも、ちょっとした事故がしょっちゅう起こった。
村長さんは「オバケが私たちを呪っている」と言った。
ビーだま村中がてんやわんやになっていたある日、村にお客さんがやってきた。
このお客さんの登場で、オバケ事件は急展開を迎えることに・・・。
『パラパラ山のおばけ』の素敵なところ
- 恐ろしいオバケの姿
- よく見ると自分のせいな呪い
- スッキリわかりやすい解決の場面
この絵本のとても素敵なところは、恐ろしいオバケの姿です。
ルルの話すオバケは、まさに怪物。
追いかけてくる姿は、獣のよう。
子どもたちも、「うわ!こわ!」「でっけぇー!」「食べられちゃうよ!」と悲鳴をあげます。
この、とても怖いオバケの姿がとっても大事。
オバケの姿が恐ろしいからこそ、後の展開が盛り上がるのです。
恐ろしいオバケが来ては大変と、村人たちは必死で準備をします。
落とし穴を掘ったり、壁を作ったり、弓の練習をしたり、見張りを立てたり。
見開き1ページ、村人たちの準備の様子が描かれます。
面白いのは次の1ページで、それが失敗する様子が描かれるところ。
村長さんはオバケの呪いだと言います。
でも、よく見ると、金づちで指を叩いてしまったり、鳥の巣の上で見張りをしていて突かれたり・・・と、「自業自得なのでは」と思うことばかり。
これが実は最後の場面への伏線になっているのです。
「本当にオバケのせいなのかな?」と、疑問が湧いてきたところに現れるお客さん。
このお客さんが事件解決のキーパーソンでした。
その事件の真相が、とてもわかりやすく描かれているのも、この絵本の素敵なところ。
白ブタのルルが話したオバケ事件の時系列に沿って、オバケ目線で話してくれます。
これによって、「あー、あれはそういうことだったのか」と納得。
わかりやすく解明されるからこそのスッキリ感があるのです。
恐ろしいオバケの姿と、正体のギャップが面白い。
村人全員による、壮大な勘違いの物語です。
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