作:マメイケダ 出版:あかね書房
地域ごとに特色のある駅弁。
そんな駅弁が、綺麗な景色とともに描かれます。
お魚型の醤油入れの視点で。
あらすじ
お魚型の醤油入れ。
ぼくは知らないうちに駅のホームにいた。
電車に乗ると、窓からはビルがたくさん見える。
東京タワーも見えた。
すると、「ガサゴソ・・・パッチン!」と音がした。
音のする方へ行ってみると・・・。
乗客がチキン弁当を開け、食べるところだった。
電車が走り、海が見えた。
するとまた音がした。
「ガサゴソ・・・パッチン!」
シウマイ弁当だ。
さらに電車は走り、ひときわ大きな山が見えた。
そしてまた音がした。
「ガサゴソ・・・パッカン!」
今度はサンドイッチ。
まだまだ電車は走っていく。
駅弁もまだまだたくさんある。
『えきべんとふうけい』の素敵なところ
- 本物そっくりの美味しそうな駅弁と美しい風景
- 「ガサゴソ・・・パッチン!」という楽しい決まり文句
- 醤油入れの素朴な一言コメント
この絵本の素敵なところはなんと言っても、本物そっくりの駅弁でしょう。
その地域ならではの、特徴的な駅弁が見事に再現されています。
子どもたちも、
「これ食べたい!」
「あ、から揚げ入ってる!」
「私だったら、卵から食べるな」
などなど、すっかりお弁当を食べる気満々でした。
また、綺麗な風景を見ながらお弁当を広げるというのも素敵です。
景色を見ながら「そろそろ、お弁当食べようか」と言われたときの、嬉しさやワクワク感が味わえるのです。
そして、ふたを開けた時の感動。
本当に電車に乗って、駅弁を開けた気分になれるのです。
駅弁を開ける時の「ガサゴソ・・・パッチン!」という決まり文句も素敵です。
風景を見ていた子も、この音で「駅弁を開けるんだ!」という、ワクワク感に変わります。
「どんな駅弁なんだろう」というドキドキ感も。
語感もよく、子どもたちが自然と真似してしまうのも面白いところです。
「ガサゴソ・・・」と言うと、子どもたちが「パッチン!」と合わせたりもしていました。
ですが、個人的に一番素敵だなと思ったのは、醤油入れの素朴な一言コメントでした。
この絵本は醤油入れが、色んな駅弁を見るという形式で描かれています。
この醤油入れが、駅弁を広げた時に思ったことを言うのです。
これが妙に共感できるものばかり。
シウマイ弁当では「シウマイを一つ食べるたび、俵おむすびを一つ食べるんだ」
サンドイッチでは「箱にぴったし入ってて、いいな」
八角弁当は「煮物から食べたいな」
など、もの凄く素朴な感想を述べるのです。
でも、なんだか「わかる!」と思ってしまう。
さらに違う考え方の子も、醤油入れのコメントを聞いて「私は・・・」「ぼくは・・・」と自分の考えを教えてくれます。
コメントがあることで、駅弁を食べる時のイメージがより広がっているのです。
綺麗な景色を見ながら、個性豊かな駅弁を食べた気分になれる。
読むと駅弁巡りの旅がしたくなる絵本です。
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