えきべんとふうけい(4歳~)

絵本

作:マメイケダ 出版:あかね書房

地域ごとに特色のある駅弁。

そんな駅弁が、綺麗な景色とともに描かれます。

お魚型の醤油入れの視点で。

あらすじ

お魚型の醤油入れ。

ぼくは知らないうちに駅のホームにいた。

電車に乗ると、窓からはビルがたくさん見える。

東京タワーも見えた。

すると、「ガサゴソ・・・パッチン!」と音がした。

音のする方へ行ってみると・・・。

乗客がチキン弁当を開け、食べるところだった。

電車が走り、海が見えた。

するとまた音がした。

「ガサゴソ・・・パッチン!」

シウマイ弁当だ。

さらに電車は走り、ひときわ大きな山が見えた。

そしてまた音がした。

「ガサゴソ・・・パッカン!」

今度はサンドイッチ。

まだまだ電車は走っていく。

駅弁もまだまだたくさんある。

『えきべんとふうけい』の素敵なところ

  • 本物そっくりの美味しそうな駅弁と美しい風景
  • 「ガサゴソ・・・パッチン!」という楽しい決まり文句
  • 醤油入れの素朴な一言コメント

この絵本の素敵なところはなんと言っても、本物そっくりの駅弁でしょう。

その地域ならではの、特徴的な駅弁が見事に再現されています。

子どもたちも、

「これ食べたい!」

「あ、から揚げ入ってる!」

「私だったら、卵から食べるな」

などなど、すっかりお弁当を食べる気満々でした。

また、綺麗な風景を見ながらお弁当を広げるというのも素敵です。

景色を見ながら「そろそろ、お弁当食べようか」と言われたときの、嬉しさやワクワク感が味わえるのです。

そして、ふたを開けた時の感動。

本当に電車に乗って、駅弁を開けた気分になれるのです。

駅弁を開ける時の「ガサゴソ・・・パッチン!」という決まり文句も素敵です。

風景を見ていた子も、この音で「駅弁を開けるんだ!」という、ワクワク感に変わります。

「どんな駅弁なんだろう」というドキドキ感も。

語感もよく、子どもたちが自然と真似してしまうのも面白いところです。

「ガサゴソ・・・」と言うと、子どもたちが「パッチン!」と合わせたりもしていました。

ですが、個人的に一番素敵だなと思ったのは、醤油入れの素朴な一言コメントでした。

この絵本は醤油入れが、色んな駅弁を見るという形式で描かれています。

この醤油入れが、駅弁を広げた時に思ったことを言うのです。

これが妙に共感できるものばかり。

シウマイ弁当では「シウマイを一つ食べるたび、俵おむすびを一つ食べるんだ」

サンドイッチでは「箱にぴったし入ってて、いいな」

八角弁当は「煮物から食べたいな」

など、もの凄く素朴な感想を述べるのです。

でも、なんだか「わかる!」と思ってしまう。

さらに違う考え方の子も、醤油入れのコメントを聞いて「私は・・・」「ぼくは・・・」と自分の考えを教えてくれます。

コメントがあることで、駅弁を食べる時のイメージがより広がっているのです。

綺麗な景色を見ながら、個性豊かな駅弁を食べた気分になれる。

読むと駅弁巡りの旅がしたくなる絵本です。

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