まってました(3歳~)

絵本

文:もとしたいづみ 絵:石井聖岳 出版:講談社

なにかを待っている男の子。

すると、色々な動物が集まってきて、一緒に待っていることに。

でも、一体何を待っているのでしょう。

あらすじ

小さな男の子たろうが、一人で川のほとりにいました。

すると、犬がやってきて言いました。

「何してるの?」

たろうは「待ってるの」と答えます。

そこで犬も一緒に待つことにしました。

たろうと犬が待っていると、カワウソがやってきました。

カワウソも二人が待っているのだと聞くと、一緒に待つことにしました。

太郎と犬とカワウソが待っていると、クマがやってきました。

そして、クマも一緒に待つことになりました。

たろうと犬とカワウソとクマが待っていると、河童が踊りながら川を下ってきました。

河童は踊りながら行ってしまいました。

犬がついに聞きました。

「それでさ、一体何を待っているの?」

その時です。

ものすごいスピードで川を下ってくるものが。

それは待っていたものなのでしょうか。

『まってました』の素敵なところ

  • 仲間が増える繰り返し
  • 何を待っているのか気になるワクワク
  • 待ちに待った後の「まってました」

この絵本の楽しいところは、次々と一緒に待つ仲間が増える繰り返しです。

「何してるの?」

「待ってるの」

「一緒に待っててもいい」

「いいよ」

という、可愛い決まり文句とともに、増えていく仲間たち。

この安心感のある繰り返しと、賑やかになっていく様がとっても楽しいのです。

また、仲間が増えるたび、待っている間にしていることが変わるのも面白いところ。

一緒に木の実を食べたり、砂遊びをしたり、歌ったり。

待っている姿にも、文章にはなっていませんが、ストーリー性を感じて、想像が膨らみます。

さて、みんな自然に待ちますが、誰も何を待っているか知りません。

なぜか誰も聞きません。

見ている子どもたちも、

「何を待ってるんだろう?」

と、疑問が積み上げられていきます。

「何を待ってるの?」と、聞いて欲しいのに、誰も聞いてくれないモヤモヤ感。

これもこの絵本の素敵なところです。

なぜなら、引っ張りに引っ張ったこの疑問が、最後に勢いよく解決されるからです。

「それでさ、一体何を待っているの」と、ついに聞いてくれる犬。

子どもたちも待ちに待った質問に「それそれ!」と大喜び。

同時に現れる待っていたもの。

待ちに待たされ、溜めに溜められた「それ」が現れた時、心の底から言ってしまうのです。

「まってました!」と。

さらにそこからの解放感と勢いのある展開。

モヤモヤが一気に吹き飛ばされ、とてもすっきりと完全燃焼で終わります。

この感覚が、この絵本の一番楽しく、素敵なところだと思います。

可愛い繰り返しで増えていく、可愛い仲間たちとともに待つのが楽しい。

待った分だけ、「まってました」が大きく、楽しくなる絵本です。

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