文・絵:ふしはらのじこ 出版:福音館書店
群れに生まれた、双子のゴリラ。
ケンカしながらも、育っていきました。
そんなある日、群れからはぐれてしまいます・・・。
あらすじ
アフリカの大きな森の奥に、ゴリラたちが住んでいました。
ゴリラは一頭のお父さんと、何頭かのお母さん、子どもたちで大きな家族を作り暮らしています。
お父さんはいつもみんなを見守っています。
ある朝、双子の赤ちゃんが生まれました。
名前はマパとパサ。
二匹はいつも一緒。
段々と大きくなっていきました。
でも、二匹は体の大きなお父さんが怖くて近づけません。
他の子どもたちはお父さんと遊んでいるのですが・・・。
ある日のこと、マパはキイチゴを見つけました。
パサに見つからないようにしていたのですが、見つかって取られてしまいます。
逃げるパサを追いかけるうち、二匹は群れからはぐれてしまいました。
目の前には見たことのない森が広がっています。
お母さんを呼んでみましたが返事はありません。
マパとパサのことを、見たことのない動物たちが見ています。
辺りはだんだん暗くなっていきました。
このままでは危険です。
二匹はお母さんがしていたことを思いだし、木の上に寝床を作り始めました。
なんとか寝床を作り、入り込むと、森に夜がやってきました。
月が隠れると、辺りは真っ暗。
すぐ近くで、聞いたことのない声、嗅いだことのない臭いがします。
二匹は抱き合いながら、眠れない夜を過ごしました。
やっと夜が明け、朝がやってきました。
二匹はお母さんを探しに出発します。
無事に群れに戻ることが出来るのでしょうか。
『ふたごのゴリラ』の素敵なところ
- リアルに描かれたゴリラたち
- 恐ろしいジャングルの夜
- いざという時頼りになるのは・・・
この絵本でなによりも目を引くのは、とてもリアルに描かれたゴリラたちでしょう。
その動き、表情、毛並み・・・。
どれをとっても、まるで本物のようです。
ゴリラたちの暮らしぶりも、とてもリアルに描かれていて、アフリカのゴリラたちの暮らしぶりや生態を知ることが出来ます。
そんなリアル志向で描かれているからこそ、マパとパサの冒険にも臨場感が生まれます。
厳しい自然界で、子どもが群れから離れることの意味を感じさせられるのです。
その中でも、特に怖いのが夜の森。
見知らぬ場所、知らない鳴き声、知らない臭い、そこかしこからする物音・・・。
さらには段々と暗くなっていく空。
不安そうなマパとパサの姿に、子どもたちも共鳴します。
一緒に不安や怖さを感じているようです。
寝床が出来ても安心できません。
真っ暗になった森の様子は、驚くほど恐ろしく、正体不明の気配の怖さが見事に描き出されています。
マパとパサと一緒に、子どもたちも抱き合っているようでした。
なんとか支え合い、朝を迎えた二匹。
でも、まだ安心は出来ません。
群れに戻らないといけないのですから。
そんな時に出会ったのが・・・。
やはり、いざという時には助けに来てくれる、頼りになる存在なのです。
子どもたちも、その姿を見た瞬間に安心し、胸をなでおろしていました。
やはり、その力強さはなによりも心強いのでしょう。
ゴリラたちやジャングルが、とてもリアルだからこそ臨場感がある。
大自然の厳しさ、恐ろしさ、そして、家族の心強さを感じる絵本です。
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