作:渡辺茂男 絵:山本忠敬 出版:福音館書店
かっこいい警察車両の中、一台だけ小ぶりなミニパト。
ミニパトのぱとくんは、かっこいい車両たちをうらやんでいました。
しかし、ある日事件が起きて・・・。
あらすじ
ある街の真ん中に、警察署がありました。
そこにはパトカー1号、覆面パトカーのパトカー2号、スポーツパトカーのスポーティー、白バイのいだてん1号といだてん2号がいました。
そして、もう1台。
ちびっこパトカーのぱとくんがいました。
朝の点呼が終わると、各車出動していきます。
ぱとくんの仕事は団地の見回りです。
ぱとくんは「また団地か」と思いながら走り出しました。
団地へ行く途中、他のパトカーの仕事ぶりを考えると、羨ましくなりました。
でも、団地へ行けば、ぱとくんも中々の人気者です。
鋼板のお巡りさんが敬礼してくれたり、子どもたちが集まってきます。
ぱとくんは学校や幼稚園も回り、交通事故が起こらないようにもします。
日が暮れて、パトくんが警察署に戻ると、電話のベルがけたたましくなりました。
子どもが幼稚園を出て、8時間経つのに帰ってきていないという通報でした。
しかし、今警察署に残っているのはぱとくんだけ。
しょちょうさんから、ぱとくんに出動命令が出されました。
行方不明になった山道へと向かいます。
ぱとくんは、子どもたちを無事に見つけることが出来るのでしょうか。
『パトカーぱとくん』の素敵なところ
- リアルな絵とスピード感
- パトカーたちのそれぞれの仕事ぶりが見られる
- 臨場感抜群な警察無線のやり取り
この絵本で、まず魅力的なのは、リアルに描かれた警察車両や、警察官たちの様子でしょう。
かっこいい警察車両は、どれも細部まで描き込まれ、装備品までよくわかります。
中にはきちんと警察官が乗り込み運転もしています。
この警察車両を眺めているだけで、テンションが上がってしまうでしょう。
でも、それだけではありません。
走る姿も、ものすごくかっこいいのです。
それはスピード感や、疾走感がすごいから。
風を切り、ぐんぐんスピードが上がる様子が感じられるのです。
特に、スポーティーの高速道路での走りは、感覚的に時速100キロ以上出ているんだろうなと感じるほどのスピード感。
思わず「すっごい速い!」と声が出てしまうほどでした。
また、それぞれのパトカーの仕事や役割が見られるのも面白いところです。
いつもは「パトカーだ!」と、ひとくくりにされますが、それぞれの特徴や仕事を知ることが出来るのです。
パトカー1号は指令車、白バイは交通違反を取り締まり、覆面パトカーは忍者部隊、スポーツパトカーは高速道路で取り締まり、ミニパトは街の巡回や交通安全。
街でパトカーを見かけた時に「こんな仕事しているのかな」と、想像が膨らみます。
さて、そんなこの絵本ですが、事件が起こった時もリアルです。
特に臨場感あふれるのが、警察無線での本部とのやり取り。
まさにそこで事件が起きているかのような緊張感が走ります。
緊張の中、進んでいく山道は息苦しさすら感じます。
そして、最後の場面での警察無線。
これを聞いている時は、まるで「密着警察24時」で、事件が解決したかのような安心感を味あわせてくれるのです。
リアルな絵とやり取りで、警察の仕事を体験できる。
本当に現場にいるような、臨場感と緊張感を味わえる絵本です。
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