文:サトシン 絵:広瀬克也 出版:文溪堂
目の前にそびえる大きな壁。
知恵を絞って乗り越えると・・・。
そこにはもっと大きな壁があったとさ。
あらすじ
ネコが歩いていくと、目の前に大きな壁がありました。
高くてとても登れない。
そこでネコは、梯子をかけて越えました。
さらにネコが進んでいくと、またまた大きな壁がありました。
そこでネコは棒高跳びで越えました。
さらにさらにネコが進んでいくと、さらに大きい壁がありました。
そこでネコは吸盤手袋を使って、ペタペタと越えました。
ネコが壁を越えるたび、さらなる壁が迫ってきます。
ネコは全ての壁を乗り越えることが出来るのでしょうか。
『おおきなかべがあったとさ』の素敵なところ
- どんどん大きくなっていく高すぎる壁
- 予想外の方法で次々壁を越えるネコ
- 壁を全て越えた先には・・・。
この絵本の醍醐味は、越えるたびに、さらに大きくなって立ちはだかる壁でしょう。
最初は空と向う側が見えていたのに、空しか見えなくなり、やがて壁しか見えないほど高くそびえ立つのです。
子どもたちもびっくり。
「もっと、高くなった!」
「お空見えないじゃん!」
「どうやって越えるんだろう・・・」
と、壁が出てくるたび、色々なリアクションをしてくれます。
その高さをさらに伝えてくれるのが、文章の言葉選びです。
最初は「大きな壁」。
次は「またまた大きな壁」。
そこから「さらに大きな壁」「もっともっと大きな壁」「さらにさらに大きな壁」・・・。
と、言葉にも力が加わっていき、視覚と聴覚の両方から、壁の大きさを感じ取ることが出来、もの凄く高く感じられるのです。
そんな高い壁を、ネコは予想もしない方法で越えていきます。
最初はスタンダードに梯子。
次は棒高跳びでスタイリッシュに。
ここからどんどん越え方が、予想も越えてきます。
吸盤で登り、鳥に掴まって飛び越え、越えられないときは穴を掘って向う側へ・・・。
と、本当に色々な方法で越えていくのです。
「さあ、どうするどうする?」
という、越える前の決まり文句も、子どもたちのワクワク感を高めてくれます。
「爪で登るのかな?」
「勢いつけてジャーンプじゃない?」
など、予想もはかどります。
そして、ページをめくった時の「えー!?」と言う反応がたまりません。
さて、そんな風に数々の壁を乗り越えていくネコ。
最後の壁を乗り越えた先には、まさかのオチが待っていました。
全てを振り絞った、最後の壁越えからの落差と、寂しげなネコの背中。
それがとっても面白いと同時に、次のお話への想像力も膨らんできます。
どんどん大きくなる壁を、予想外な方法で越えていくのが面白い。
みんなでワイワイ盛り上がれる、ただただ楽しい絵本です。
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