トリゴラス(5歳~)

絵本

作:長谷川集平 出版:文研出版

夜に聞こえる風の音。

「何か外にいるのかも?」と思い、不安になったりすることも。

いや、もしかしたら本当にいるのかもしれません。

あらすじ

ある夜、男の子が寝ているお父さんに詰め寄った。

外で「びゅわんびゅわん」いっている、音の正体が気になったからだ。

男の子は「あれは怪獣に違いない」と言った。

「街に向かって飛んでいく音」だと。

名前はトリゴラス。

鳥の怪獣だ。

トリゴラスは大きい。

秘密兵器はトリゴラ・ガス。

とても強くて、街はもうめちゃくちゃ。

そして、とうとう見つけるのだ。

トリゴラスの目的地を・・・。

『トリゴラス』の素敵なところ

  • どんどん膨らんでいく想像
  • 怪獣映画さながらの迫力
  • 本当の所はわからないモヤモヤ感

この物語は、一人の男の子の想像から始まります。

夜中に外から聞こえる、「びゅわんびゅわん」という音。

お父さんはめんどくさそうに「風の音だ」と言いますが、男の子は信じません。

怪獣の飛ぶ音だという想像から、大きさ、秘密兵器、暴れ方まで、どんどん想像が広がります。

そこには想像ならではの設定が、目白押しなのも素敵なところ。

秘密兵器の名前が「トリゴラ・ガス」と小学生男子なネーミングセンス。

暴れ方は「もう、めちゃくちゃや。まち、ぐちゃぐちゃや」と大雑把に大暴れ。

目的も小学生男子の想像な感じが、ふんだんに感じられるものになっています。

さて、想像の怪獣トリゴラスですが、絵本の中での迫力は凄まじく、まるでゴジラのような往年の怪獣映画のようです。

ビルの上を悠々と羽ばたく姿。

街へ放射するトリゴラ・ガス。

崩れる街。

逃げ惑う人々。

燃える街で、ミサイルを撃つ防衛隊・・・。

まさに怪獣映画のワンシーンのような暴れっぷり。

この「まさに怪獣!」という、ベタな感じに子どもも大人もテンションが上がってしまいます。

子どもたちからも、

「トリゴラスつえー!」

「電車食べちゃってる!」

「かっけぇー!」

とロマン溢れる声が上がっていました。

そんな物語の最後は現実に戻ってきます。

「想像だったんだろうな」と思いつつも、本当に風の音なのかはわかりません。

「もしかしたら・・・」と思わせてくれる、絶妙なモヤモヤ感を残してくれます。

この、いないとも言い切れないモヤモヤ感が、とても楽しいのです。

怪獣映画さながら、純粋に怪獣の暴れっぷりを楽しむことができる。

それと同時に、一緒に想像を膨らませる楽しさを味わえる絵本です。

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