おばけもこわがるおばけ(4歳~)

絵本

文:内田麟太郎 絵:西村繁男 出版:童心社

泣く子も怖がるオバケたち。

でも、オバケだってゾ―っとしたい時がある。

そこで、オバケがオバケに化けて肝試しをすることに。

あらすじ

海から上がってきたタコが、ある家の中に紛れ込んだ。

なんと、そこはオバケたちの家。

たくさんのオバケたちが住んでいた。

でも、そこにいたオバケは暑さでみんな、汗だらだら。

たまらず、大入道が怒鳴りつけた。

「ぞ、ぞ―っと寒くなるようなオバケに化けんかい!」と。

しかし、キョトンとするオバケたち。

オバケがオバケに化けるなんて、聞いたこともなかったからです。

そこで、大入道は自分が手本を見せることにしました。

呪文を唱えると・・・。

なんと、平たい折り紙で作られたような姿になったのです。

それを見ると、怖すぎて、みんな白目でひっくり返りました。

次に変身するのはカッパです。

カッパも呪文を唱えると・・・。

やっぱり、折り紙のように。

またまた、みんな怖がります。

さらに化け猫、赤鬼青鬼、ろくろ首にのっぺらぼうと続きます。

オバケたちは、オバケに化けたお互いを見て・・・。

『おばけもこわがるおばけ』の素敵なところ

  • ヘンテコなオバケに化けたオバケの姿
  • 一緒に唱えたくなる呪文
  • 落語のようなオチ

この絵本の特徴的なところは、なんと言っても、オバケに化けたオバケの姿。

どんな怖いオバケになるのかと思いきや、平べったい、折り紙で作ったような、ヘンテコで可愛い姿になっています。

子どもたちも、これにはびっくり。

「なんだこれー!?」

「変なオバケになってるー!」

と、大笑い。

でも、オバケたちの反応は違います。

本気で怖がっているのです。

この反応のギャップがまた楽しく。

「全然怖くないじゃん!」

と、怖がらない自分たちを誇らしげに感じているようでした。

また、この変身にはなんだか中毒性があり、次の変身も楽しみになるのが不思議なところ。

「今度はどんな風になるんだろう・・・?」

と、ドキドキワクワクで、画面に惹きつけられてしまいます。

そして、変身するたび、

「なんじゃこりゃー!」と、盛り上がる。

完全に子どもたちの心は、鷲掴みにされてしまうのです。

その楽しみを盛り上げてくれるのが、変身の呪文です。

「ばけちゃうぞ。ばけちゃうぞ。おばけがおばけにばけちゃうぞ」

という、リズム感と、語感のよい呪文。

この呪文を聞くと、ワクワクドキドキ。

次にどんな姿になるのかと期待が膨らみます。

また、一緒に言いたくなってしまうのも楽しいところ。

一緒に言えば、今度は自分が変身するオバケになった気分です。

さて、そんな物語のオチは、まるで落語を見ているようなオチでした。

最初と言っていることが真逆になっているオバケたち。

よっぽど肝試しが怖かったのでしょう。

調子のいいことを言うオバケたちに、

「まったく・・・」

と、ため息をついて終わります。

これがなんとも座りがいいのです。

オバケがオバケに化けるという、まさかの展開が面白い。

と、思っていたら、変身したオバケの姿がさらに面白い、大盛り上がりな絵本です。

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