作:牛窪良太 出版:アリス館
パンダの家族が営むパン屋さん。
曜日ごとに、パンのテーマが変わります。
さて、今日のパンはどんなパンだ?
あらすじ
パンダの親子が、森でパン屋をやっています。
ぱぱパンダ、ままパンダに、子パンダが4匹。
みんなで力を合わせて、パンを作ります。
月曜日はしましまパンの日。
お客さんも、シマウマやトラなど、しま模様が目立ちます。
火曜日は長いパンの日。
フランスパンを買いに、キリンが店にやってきました。
水曜日はふわふわの白いお尻パン。
みんなお尻をフリフリしながら買っていきます。
さらにサササンキューデーもやっています。
特製のサササンドをサービスしますが、「チクチクするから・・・」と、みんなそそくさ帰っていきます。
木曜日は定休日。
サササンドに、サササラダ、サササイダーにササ茶と、笹尽くしの食卓を囲みます。
金曜日は四角い食パンの日。
みんな食パンを持ち帰り、掲示板の前でおしゃべりです。
そこで、一枚のポスターが目に入りました。
パンダのパン屋が、次の日曜日に『ひみつのパンだパーティー!』を開くと書いているのです。
土曜日のお店が終わると、パンダの一家はパーティーの準備を始めました。
一体どんな秘密のパンが出てくるのでしょうか。
『パンダのパンだ』の素敵なところ
- 曜日ごとに変わるパンのワクワク感
- ここぞとばかりに出てくる「パンだ」
- ポスターや看板などの小物が変化に富んで面白い
この絵本の一番の魅力は、「明日は何パンなんだろう?」という、ワクワク感でしょう。
曜日ごとにテーマがあるパンたち。
しましまや、長ーいパンなど、美味しそうで特徴的なパンで一杯になった店内は、毎日まるで違うお店のようです。
買いにくるお客さんも毎日違い、どんなパンをどんなお客さんが買いに来るかも楽しみです。
子どもたちも、
「シマウマはやっぱりしましまが好きなんだよ」
「キリンさんも首長いもんね」
と、納得している様子。
中でも、人気はお尻パン。
出てきた瞬間、大爆笑の大盛り上がり!
子どもにお尻は鉄板でした。
また、パンだけでなく、曜日が進んでいく感覚も面白い。
日曜日にパーティーがあるとわかると、なおさらワクワク。
「日曜日まであとちょっとだ!」
と、待ち遠しさが溢れていました。
そんな色々なパンが楽しいこの絵本を、より楽しくしてくれるのが、出てくる「パンだ」。
文章の中に、チャンスがあればここぞとばかりに出てきます。
「今日のパンは何パンだ?」
「フランスパンだ!」
「あんパンだ!クリームパンだ!メロンパンだ!」
「ひみつのパンだパーティー!」
もう、「パン」が出てくれば「だ」をつけてきます。
読み終わるまでに何回「パンダ」と言ったかわかりません。
でも、これがなんとも心地よく、妙な中毒性があるのです。
子どもたちの中にも、すっかりパンとパンダが結びついていることでしょう。
そんな言葉遊びも、この絵本の大きな魅力です。
さて、この絵本は本編以外にも楽しいところが盛り沢山。
それがページに描き込まれた小物たちです。
その日のパンを描いた店内のイーゼルには、その日のパンに合わせたイラスト。
店内のカレンダーは曜日が進むごとに、日付にバツがつけられて、イベント予定も描き込まれています。
掲示板には犬の犬語教室や、ネコ探しのポスターなど。
一番の謎は店内に売られるキャットフード。
これだけパンとなんの関係もないのに、棚に並んでいます。
一つ一つ見るだけでも面白いですが、曜日が進むことでの変化を見つけた時はさらに嬉しくなってしまいます。
さらに、掲示板のポスターには、その後のページに関わる秘密も隠されていて、見つけた時は大興奮。
「ここが繋がってたのか!」
と、ミステリーの謎が解けたかのようなスッキリ感を味わえます。
バリエーション豊かな日替わりパンに、思わず「パンだ!」と叫んでしまう。
読んでいると、お腹一杯になるまでパンが食べたくなってしまう絵本です。
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