アナボコえほん(4歳~)

絵本

絵・文:井上洋介 出版:フレーベル館

もし、空にアナボコが空いたら・・・。

もし、スプーンに穴が空いてたら・・・。

そんな「もし・・・」が楽しい、アナボコだらけの絵本です。

あらすじ

空のてっぺんにアナボコが空くと、そこからどしゃぶりの雨が降ってきた。

ハチの巣山はアナボコだらけで、大きなハチが住んでいる。

古靴が大好きな巨人は、アナボコが空いた靴に足を通して何足も履く。

アナボコ空いてるトンカチは、釘がちっともへこまない。

アナボコ空いてるスプーンでは、スープが飲めない。

満月にアナボコが空いていたら、ドーナツみたいな変な月。

まだまだ出てくるアナボコだらけの、アナボコ絵本。

電車にも、橋にも、電柱にも・・・。

『アナボコえほん』の素敵なところ

  • 予想外の所にアナボコが空く驚きと面白さ
  • 語呂のいいリズミカルな文章
  • 突然始まる短い漫画

この絵本の魅力はなんと言っても、色んな所に空くアナボコ。

スプーンや、トンカチどの小さなものから、月や空などの予想外な規模のものまで。

本当に何でもアナボコが空いてしまいます。

空いた結果も、スプーンでスープが飲めない「そりゃそうだよ」と思うことから、空のアナボコからは雨が降ってくるという「なるほど!」と唸ってしまう予想外なものまで様々。

ページをめくるたび、ワクワクしてしまいます。

子どもたちも、

「そんなところに穴空いちゃうの!?」

「これじゃ意味ないじゃん!」

「これは避けたら大丈夫じゃない?」

など、楽しみつつ、驚きつつ、アナボコが空いたのを想像しながら見ているようでした。

さらに、語呂がよい文章が加わり、よりテンポよく、楽しくアナボコが空いていくのも素敵なところ。

「空のてっぺん アナボコ空くと 土砂降りの雨 降ってくる」

「古靴は アナボコ空くと 捨てちゃうが わしは捨てるの 大嫌い」

など、語呂とリズム感のいい一文で、一つのアナボコが空いていくので、とてもテンポよく進んでいくのです。

かなりたくさんのアナボコが空いていくのですが、全く飽きさせず、あっという間に終わってしまったように感じるほどでした。

さて、この絵本の中には唐突に、コマ割りがされ、漫画になるページが出てきます。

これが物凄くいいアクセントになっていて面白いのです。

しっかりオチもついていて、急に違う絵本に迷い込んでしまったような、不思議な感覚。

でも、しっかりアナボコ絵本という、なんだか面白い体験をさせてくれます。

これがたまに挟まってくるので、より飽きることなく最後まで楽しめるのです。

予想もつかない所に、次々と開くアナボコ。

そんなアナボコを通して、常識を超えた想像を心行くまで楽しめる、ナンセンス絵本です。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました