作:今森光彦 出版:福音館書店
葉や花びらに透ける影。
まるでかくれんぼをしているみたい。
隠れている虫を見つけられるかな?
あらすじ
細い葉っぱに、何かの影が透けている。
隠れているのは誰だろう?
隠れていたのはバッタ!
次は大きな葉っぱに隠れた影。
少し透明な羽が見えている・・・。
隠れていたのはトンボ!
次は花びらに映る影。
かくれんぼしている虫が、全部わかるかな?
『くさむらのかくれんぼ』の素敵なところ
- 写真を使った草むらでのリアルかくれんぼが見られる
- 有名な虫たちの中に紛れるマニアックな虫
- 一匹一匹の虫たちが近くでよーく見られる
この絵本は写真を使ったかくれんぼ絵本です。
本当に草むらで隠れている虫の姿を、見ることが出来ます。
瑞々しい植物と、鮮明に映る影を見ながらの虫探しというだけでも、とても魅力的。
あまりの綺麗さに、虫より葉や花に目を奪われてしまうこともしばしばです。
そこに隠れている虫は、どれも身近なものばかりなのも素敵なところ。
バッタ、トンボ、アリなど、みんな知っていて、捕まえたことがあったり、見たことがあるからこそかくれんぼが盛り上がります。
よく知った友だちと、かくれんぼをする感覚になるのです。
影の他に、少しだけ体や羽が見えているのも、楽しいポイント。
「ちょっと見えちゃってるよ~」
と、虫たちのおちゃめっぷりにも、愛着が湧いているようでした。
そんな中、一匹マニアックな虫が入っています。
それまで、簡単だと思っていた子も、急に真剣な表情に。
「これなんだ・・・?」
と、本気で考えます。
これがとてもいいアクセント。
答えを見てもわからない子が多数な虫に、「意外と難しいかも」と一度姿勢を正します。
さて、そんなかくれんぼがとても魅力的な本ですが、実はそれだけではありません。
見つかった後の虫が、ページいっぱいに登場し、じっくり見られるのも素敵なところです。
自然に生きる生命力抜群の虫。
その息遣いを感じるような姿は、図鑑で見るのとは違う感動があります。
きっと、身近なよく知った虫の姿ということもあるのでしょう。
葉っぱを足先で器用に掴んでいる所や、体の形、触覚の模様まで、鮮明に見ることが出来るのは新鮮な驚きがあります。
トンボなどは体の毛まで見えていて、
「トンボって毛が生えてるんだ!?」
と、驚きの声も上がっていました。
自然の中の楽しいかくれんぼを通して、自然と虫に興味を持てる。
虫探しと、観察がいっぺんに出来る、写真だからこその贅沢な絵本です。
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