いぬのおばけ(5歳~)

絵本

作:長新太 出版:ポプラ社

ある日見つけた白いイヌ。

動かないので、おんぶして連れていくと、不思議なことが次々起こります。

もしかして、イヌのオバケなのかしら?

あらすじ

女の子が歩いていくと、小さな白いイヌが倒れていました。

声をかけても起きないので、女の子はおんぶして、病院につれていくことに。

ところが、歩いていると、イヌがだんだん大きくなっていきます。

「これはイヌのオバケかもしれない」と思っていると、いつの間にか大きなイヌの背中に、子イヌまでくっついています。

歩いていると、イヌがうんちをしました。

そのうんちも、オバケになって飛んでいます。

女の子は、おんぶしているのは、死んでしまったイヌのオバケなのか、誰かに聞いてみることにしました。

そこで、オバケのお医者さんに診てもらうと・・・。

『いぬのおばけ』の素敵なところ

  • 何が起こるか予想もつかない不思議なイヌ
  • 優しい女の子の素朴な言葉
  • 優しくも物悲しい結末

この絵本の面白いところは、正体不明のイヌが起こす、不思議な出来事の数々です。

大きくなっていったり、子イヌが現れたり、うんちがオバケになったり・・・。

どれも普通のイヌでは起こりえない、予想のつかないことばかり。

「どうなるんだろう?」と思う間もなく、

「大きくなった!」

「赤ちゃんいるよ!」

と、ひたすら驚くことばかり。

「このイヌは、一体何なんだろう?」という疑問が湧き出て、続きが気になります。

そんな不思議なイヌをおんぶする、優しい女の子もとても魅力的です。

自分よりも大きくなったイヌを、頑張っておんぶしながら歩くのです。

そして、歩いている途中に、様々な思いを口にします。

大きくなっていくイヌを見て「どうしよう、これはイヌのオバケかしら」

歩きながら、「ああ、おもいなあ、おもいなあ」

うんちのオバケを見て「だめよ、だめよ。ついてこないで」

など、そのどれもが、「自分でもそう言うだろうな」と思うものばかり。

この素朴な疑問や思いに、とても共感でき、自分もイヌをおんぶしている気持ちになるのです。

さて、そんな物語の結末は、心が温まりながらも、切なく、物悲しいものでした。

病院で診てもらったイヌの秘密。

その秘密を知った後の、女の子とのやり取り。

最後の場面。

そのどれもが、なんだか胸を締め付けられるのです。

ふんわりと、死と生について考えさせられてしまいます。

女の子とイヌの出会いから起こる、不思議な出来事の数々。

それは楽しく、面白く、優しく、悲しい、やっぱり不思議な物語なのでした。

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