作:長新太 出版:ポプラ社
ある日見つけた白いイヌ。
動かないので、おんぶして連れていくと、不思議なことが次々起こります。
もしかして、イヌのオバケなのかしら?
あらすじ
女の子が歩いていくと、小さな白いイヌが倒れていました。
声をかけても起きないので、女の子はおんぶして、病院につれていくことに。
ところが、歩いていると、イヌがだんだん大きくなっていきます。
「これはイヌのオバケかもしれない」と思っていると、いつの間にか大きなイヌの背中に、子イヌまでくっついています。
歩いていると、イヌがうんちをしました。
そのうんちも、オバケになって飛んでいます。
女の子は、おんぶしているのは、死んでしまったイヌのオバケなのか、誰かに聞いてみることにしました。
そこで、オバケのお医者さんに診てもらうと・・・。
『いぬのおばけ』の素敵なところ
- 何が起こるか予想もつかない不思議なイヌ
- 優しい女の子の素朴な言葉
- 優しくも物悲しい結末
この絵本の面白いところは、正体不明のイヌが起こす、不思議な出来事の数々です。
大きくなっていったり、子イヌが現れたり、うんちがオバケになったり・・・。
どれも普通のイヌでは起こりえない、予想のつかないことばかり。
「どうなるんだろう?」と思う間もなく、
「大きくなった!」
「赤ちゃんいるよ!」
と、ひたすら驚くことばかり。
「このイヌは、一体何なんだろう?」という疑問が湧き出て、続きが気になります。
そんな不思議なイヌをおんぶする、優しい女の子もとても魅力的です。
自分よりも大きくなったイヌを、頑張っておんぶしながら歩くのです。
そして、歩いている途中に、様々な思いを口にします。
大きくなっていくイヌを見て「どうしよう、これはイヌのオバケかしら」
歩きながら、「ああ、おもいなあ、おもいなあ」
うんちのオバケを見て「だめよ、だめよ。ついてこないで」
など、そのどれもが、「自分でもそう言うだろうな」と思うものばかり。
この素朴な疑問や思いに、とても共感でき、自分もイヌをおんぶしている気持ちになるのです。
さて、そんな物語の結末は、心が温まりながらも、切なく、物悲しいものでした。
病院で診てもらったイヌの秘密。
その秘密を知った後の、女の子とのやり取り。
最後の場面。
そのどれもが、なんだか胸を締め付けられるのです。
ふんわりと、死と生について考えさせられてしまいます。
女の子とイヌの出会いから起こる、不思議な出来事の数々。
それは楽しく、面白く、優しく、悲しい、やっぱり不思議な物語なのでした。
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