作:西村繁男 出版:福音館書店
「あ」から始まる50音。
「あ」や「い」から始まる言葉でだけで、文章を作っていきます。
パズルのように、言葉遊びが楽しめる絵本です。
あらすじ
あ。
あんぜんちたいで、
あさの、
あいさつ。
”ア”マガエルと、”ア”オダイショウが、”あ”んぜんちたいで、”あ”さの”あ”いさつをしています。
後ろには”ア”シカに”ア”ザラシ、”ア”ホウドリに”ア”ヒルもいます。
い。
イノシシでーす。
いっすんぼうしさん、
いいてんきですね。
”イ”ノシシが、”い”とでんわで、”い”けに浮かぶ、”い”っすんぼうしに話しかけています。
”い”しがきの前には、”イ”スに座った、”イ”ヌが”い”ねむりしています。
う。
うめのはなさき、
うぐいすと、
うた、
うたう。
”う”めの花の下で、”ウ”グイスと、”う”まや”う”し、”う”さぎに”う”らしまたろうが、”う”たを”う”たいます。
この後も「え」~「ん」まで、続きます。
『あからん』の素敵なところ
- 一音だけで作るパズルのような文章作り
- 不思議なシチュエーションと絵の面白さ
- 言葉探しで増えるボキャブラリー
この絵本の面白いところは、決まった一音から始まる言葉だけで作られる文章でしょう。
これがパズルのようで面白い。
子どもたちも、
「おー!!」
「全部”あ”から始まってる!」
と、その面白さに興味津々。
他にどんな言葉が使えるか考えたり、自分の名前を文章に入れてみたりし始めます。
その様子はまるで、パズルやなぞなぞを楽しむようでした。
また、この絵本で作った文章が、少しヘンテコなのも面白いところです。
安全地帯で挨拶したり、イノシシと一寸法師が糸電話をしていたり。
言葉遊びだけじゃなく、そのシチュエーションだけで笑えます。
さらに、そこに色んな要素を詰め込んだ絵が、入ってくるからもう大変。
浦島太郎に、相撲をするストーブ、クモの巣にかかるクジラ・・・。
絵のインパクトも、文章に負けていません。
そんな不思議な世界観を見るだけでも、十分楽しめるくらい面白いものになっています。
さらにさらに、言葉探しまで面白いのが、この絵本のすごいところ。
巻末に、それぞれのページに載っているものの名前が、一覧になっています。
それを見ると、文章には出てこなかった、50音から始まる言葉を探すことが出来るのです。
絵と見比べればわかるもの。
聞いたこともない名前のもの。
様々ありますが、絵と言葉を一致させる中で、ボキャブラリーが増えていきます。
そして、増えたボキャブラリーを使うと、新しい文章が作れます。
このループがとても楽しく、より言葉を面白く感じ、興味を高めてくれるのです。
楽しい世界観の中で、文章を作ったり、言葉を探す面白さを思いっきり楽しめる。
より深く、言葉の不思議さや面白さを堪能できる、言葉遊び絵本です。
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